8月のインターハイ400メートルリレー決勝。アンカーの川辺準也がバトンを受け取る

8月の全国高校総体(インターハイ)男子400メートルリレーを、40 秒18 で初めて制した法政二(神奈川)陸上競技部。1600メートルリレーも2 位に食い込んだ。短距離のみならず、跳躍や障害を専門とする部員もリレーの練習に取り組み、この夏大きく飛躍した。 (文・写真 小野哲史)

リレー練習が個人優勝導く

 

全部員が脚を速くしようという意識で練習に取り組んでいる。中でも短距離、跳躍、障害を専門とする選手は、自分の専門種目と並行してリレーの練習もする。インターハイに向けては11人がリレーチームに名を連ねた。


 日頃から300メートル前後のダッシュなどに励み、400メートルリレーと1600メートルリレーのどちらも走れる選手を目指す。インターハイでは3人がリレー2種目を掛け持ちした。

走り幅跳びと走り高跳びが専門の佐久間滉大(3年)=神奈川・豊田中出身=は400メートルリレーに出場。「リレーのおかげで走力がつき、跳躍の記録が伸びました」。走り幅跳びでは7メートル80センチの大会新記録で優勝した。

15分の基礎練習が鍵

毎日欠かさず行うコントレで、正しい体の動きを身に付ける

 

選手の走りの土台を形成するのが、全部員が毎日取り組む約15分間のコンディショニングトレーニング(通称コントレ)だ。部員は脚の運びなどを意識しながら、最初の数メートルでステップやもも上げといった基本動作をくり返し、ダッシュで終える。


 インターハイの200メートルで8位入賞を果たした川辺準也(3年)=同・浦賀中出身=は「脚の回転のさせ方を常に意識しています。1年生の時はコントレで動きをよく直されましたが、それが今の走りにつながった」と話す。
 体の動きを確認した後、部員はスピードアップやスタミナ強化のメニューをこなす。

積極的な意見交換

 

バトン練習は特別なメニューこそないが、練習の機会は多い。アップ時はゆっくり走りながらバトンをつなぐ。春からは週2、3回、試合を想定したバトンパスに取り組んでいる。新チームの主将となった杉尾拓真(2年)=同・川崎橘中出身=は「大会期間に入ると、リレーメンバーだけのミーティングを開き、バトンパスの反省を次に生かすようにしています」と話す。インターハイ初制覇は、レースを重ねるたびに何度も意見を交わし合った成果だった。

 インターハイの優勝メンバーで臨む400メートルリレーは、残り2レース。神奈川県の高校記録(39秒97)と、その上にある日本高校記録(39秒64)の更新を目指す。

4人なら全国目指せる 野村忠信監督

 

みんなでリレーを頑張った上で、各自の専門種目をやっていこうと考えています。リレーである程度結果を出せれば、個人種目にも良い影響が出ます。

 下級生の時は個人で大きな大会に進むことは難しいですが、4人で力を合わせるリレーなら、インターハイに出場できる可能性は高くなります。ここで培った経験は、上級生になった時に生かせるという狙いもあります。

 コントレは、走る動きを一つずつ分解して行います。一般的にはドリルと呼ばれるもので、私が高校時代にやっていたトレーニングにアレンジを加えたものです。全部を一気に合わせるのが難しい動きも、部分的に練習すると身に付きやすくなります。指導者にとっても、選手一人一人の特徴や癖が見やすくなる利点があります。

のむら・ただのぶ 1973 年6 月24 日、埼玉県生まれ。日体大卒。2005 年から監督。棒高跳びの選手として伊奈学園総合( 埼玉)3年時にインターハイ出場。大学4年時に日本選手権5位。

 

川辺準也(3年)

リレーの練習後には、練習中に感じた加速の乗り具合や走りだす時の歩数などについて、意見を出し合うようにしています。

 

走る練習では、走り幅跳びや走り高跳びにどう結びつくか、リレーにどう生きるかを考えながら取り組むことを心掛けています。
 

佐久間滉大(3年)

 

 

杉尾拓真(2年新主将)

400メートルリレーと1600メートルリレーで第1走を任されていたので、スタートダッシュなど普段の練習から良い位置でバトンを渡せるように意識しています
 

 

【チームデータ】
 
1939 年の学校創立とほぼ同時期に創部。部員93 人(3年生28 人、2年生34 人、1年生31 人)。6 月の関東大会では400メートルリレー3位。1600メートルリレー
 
2 位。8 月のインターハイでは学校総合で4 位。

(高校生新聞 2014年10月号から)