磐田西(静岡)女子バレーボール部は、花や野菜の栽培を部活動に取り入れている。その取り組みは、チームの成績向上にも一役買っているという。秘密を探った。(文・写真 青木美帆)

植物の栽培は2011年の秋、部員たちの「学校を元気にしたい」という思いから始まった。当初は5つだったプランターの数は、今では20に増加。ナデシコやキュウリなど、1年を通じて20種以上の花や野菜の中から部員それぞれが好きなものを選び、責任を持って育てている。部員たちは交代で1日2回水をやり、観察日誌をつけている。

競技とは無関係な取り組みが、バレーボールに必要不可欠なチームワークに、いい影響を与えるようになった。前主将の萩原千恵(3年)=静岡・天竜中出身=は「植物を大切に育てることで、仲間にも優しくなった。下級生の時とは別人」と笑う。センターの鈴木千裕(2年)=同・豊田中出身=も「植物を毎日気に掛けているせいか、仲間のちょっとした変化にも気付くようになった」と話す。栽培効果は試合結果にも表れた。県大会出場が目標だったチームが、昨年の県新人戦でベスト8、今年の全国高校総体(インターハイ)県予選ではベスト16という好成績を残した。吉川牧人監督(39)は「バレーボールはボールをつなぐ競技。仲間にボールをつなぐために必要な気遣いを、植物の栽培によって身に付けられた」と話す。

今夏に始動した新チームの目標は、県で優勝することだ。新主将の中村菜々子(2年)=同・磐田南部中出身=は「花を育てながら、元気と勢いで勝っていきたい」と意気込む。色とりどりの思いやりと笑顔を咲かせながら、目標に向かってほしい。