今季初の全国大会出場で優勝を勝ち取った下北沢成徳

第68回全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)の男女決勝が1月10日、東京体育館で行われ、女子は下北沢成徳(東京)が八王子実践(東京)を3−0のストレートで下し、3年ぶり3度目の優勝を果たした。今季、全国高校総体(インターハイ)出場を逃すなどの苦しい時期を乗り越え、試行錯誤の末につかんだ勝利だ。(文・田中夕子、写真・幡原裕治)

試合序盤から強気のアタックと強力なブロックで攻め抜いた下北沢成徳。最後はエースの黒後愛(2年)がライトから豪快なスパイクを決めた。優勝を手にした瞬間、選手たちがコートになだれ込み、中央に歓喜の輪ができた。主将の熊井風音(3年)は目を潤ませ「1、2年生、来年も頼んだよ!」と大声で喜びを表現した。

全国大会の常連である下北沢成徳だが、昨夏のインターハイは東京都予選で敗れ、8年ぶりに出場を逃した。このままでは春高に出られないかもしれない。芽生えた危機感は、選手たちを変化させた。

ブロック力 劇的に向上

「練習内容は選手たち自らが考える」のが小川良樹監督の方針。負けた試合を振り返り、選手たちが特に力を入れたのはブロック練習だった。

平均身長174.8センチと高さが武器であるはずが、インターハイ都予選では相手の思い通りにスパイクを決められてしまった。

そこで練習では、トスに見立てたボールを投げ入れ、それを台上の選手が打つことで、より実戦に近づける工夫をした。小茂田夏海(3年)は「ブロック練習を、スパイクを打たれるイメージに近づけなければダメだと思った」という。

ブロック力は劇的に向上。決勝ではブロックで13得点を挙げた。小川監督も「ブロックが良かった。選手たち自身が考えた練習の成果が実った」と目を細めた。

衝突恐れず厳しい意見

選手たちは弱さを改善するために、時には厳しい意見をぶつけ合った。池谷優佳(3年)が「チームの空気が悪くなるのが怖くなる時期もあった」と振り返るほどだ。

苦しみを乗り越え、衝突も恐れず、最後につかんだ日本一。熊井は「仲間に支えられながら、ここまでやってきて良かった」と笑顔で胸を張った。

【TEAM DATA】
1951年創部、部員33人(3年生14人、2年生13人、1年生6人)。2002年度にインターハイ、国体、春高の3冠、14年に国体3位など全国大会出場多数。OGに大山加奈(元日本代表)、荒木絵里香(上尾)、木村沙織(東レ)ら。