ニュージーランドの先住民マオリの伝統舞踏「HAKA(ハカ)」。神奈川・横浜高校では、アメリカンフットボール部の部員を中心に「HAKAチーム」を結成し、文化祭や校外のイベントなどで踊りを披露している。 (文・写真 小野哲史)

「いくぞ、覚悟はいいか!」。マオリ語の叫びとともに、40人近い男子生徒が力強く手をたたき、足を踏み鳴らす。1999年のニュージーランド研修で、現地の高校生が踊ったハカに感動した吉野正人先生が中心となり、同年に「HAKA(ハカ)チーム」が結成された。

兄弟校であるニュージーランド・ケルストン高校から伝授された踊りは、いまや同校の伝統となり、校外のイベントで披露することもある。吉野先生は「踊りを通して、自分自身の殻を破ってほしい」と願っている。

大西貴之君(3年)は「1年生の当初はあまりやりたくなかった」と振り返るが、「だんだん格好良いと思えるようになってきて、見た人から『良かったよ』と言われるとうれしい」と話す。

練習は公演日の1カ月前から始める。緊張感を保ちながらも和やかな雰囲気の中で、上級生が下級生を指導する。

振りを覚えることも大事だが、それ以上に重視しているのが、踊りともに歌う歌詞の理解だ。遠藤ケビン君(3年)は「気持ちがこもっていなければ意味がない。歌詞の意味をしっかり意識するようにしています」と胸を張る。伝統の魂の踊りが、生徒たちをたくましく成長させる。

【TEAM DATA】
1999 年結成。現在のメンバーは約40 人。アメフット部全員と生徒有志が所属。秋の文化祭では毎年披露する。ニュージーランド政府観光局などが主催する校外イベントでの公演実績も多数あり。