優勝した海陽中等教育学校のメンバー

各地の予選を勝ち抜いた高校生が科学の知識や技能を競う「第5回科学の甲子園全国大会」(3月)で優勝したのが愛知・海陽中等教育学校。5月下旬には渡米する予定だ。チームの強さの秘密を探った。(文・写真 野村麻里子)

中学生での反省をバネに

筆記と制限時間内で実験を行って成果を出す実技1種で1位を勝ち取り、他校を圧倒した。現在、5年生(高校2年生)5人と6年生1人のチームだ。

優勝の原動力になったのは「反省」だ。4人は3年前、中学生部門の全国大会に出場した。筆記競技では1位を取ったが、実技競技が「ボロボロ」で、優勝には遠く及ばなかった。神田秀峰(しゅうほう)君(5年)は「大会に懸ける気持ちが足りなかった」と振り返る。

優勝するには筆記だけでなく、実技4種で成果を出さなければならない。午後に時間ができる定期試験期間を利用して、10月の県1次予選(筆記)通過後から全国大会までに15回ほど実験の練習に励んだという。

「食塩とミョウバンの混合物を調べ、それぞれの比率を調べる」「豚の肝臓からDNAを採取する」など、先生が用意した課題に挑戦し、技術を磨いた。

毎晩集まって実技対策

全寮制を活かし、1月上旬からは午後10時半から1時間、ほぼ欠かさず集まり、事前に内容が公開されるタイプの実技の準備に充てた。

送・受信機を作り、メッセージを正しく送る速さを競う実技では、日本情報五輪銅賞の実績がある坂部圭哉君(5年)がプログラミングを担当。妥協せず、装置の改良を重ねた。

主催者側は3分でもギリギリと想定していたが、同校は本番で36秒という記録を打ち出し1位を取った。この速さには大会担当者も「驚異的なスピードでミスなく達成した」と驚いた。

4年間同じクラス

どの競技も、優秀な生徒が1人いるだけではクリアできない。メンバーが協力して適切な動きをすることが求められる。

5年生5人は4年間、同じクラスで学んできた。神田君は「話さなくても、メンバーが何を考えているのか分かる」という。唯一の6年生である光信拓杜(たくと)君がメンバーをまとめ、大会に臨んだ。以心伝心ともいえる強固なチームワークで、大会の雰囲気にのまれることなく集中し、「いつもの自分たち」で大会に挑戦できたのも勝因だ。

「次も参加して2連覇を狙いたい」と燃えている。5月下旬には米国の高校生による科学の競技会「サイエンス・オリンピアド」にゲストとして参加するため、渡米する予定だ。

科学の甲子園 第5回大会(茨城県つくば市、科学技術振興機構主催)には、過去最高の8261人がエントリーした。全国大会(3月18〜21日)には、予選を勝ち抜いた各都道府県代表の47校365人が筆記競技と4種の実技競技に挑み合計得点を競った。