【マナビ最前線】順天堂大学 今年4月開設! “グローバル市民”を育てる独自の教育プログラムとは

[順天堂大学 国際教養学部]
順天堂大学初の特色ある学部として今年4月にスタートした国際教養学部。1期生の伊藤駿希さん、担当教員の吉野康子准教授の二人に聞いた。

入学した理由は?


伊藤 高校1年生のとき、2週間の海外語学研修に参加しました。研修先のカナダは毎年多くの移民を受け入れている多文化社会。肌の色や言葉はもちろん、服装や歩き方まで異なるさまざまな人たちが共存していることに驚きました。異文化をもっと知りたい---そう思ったとき順天堂大学に国際教養学部ができることを知りました。

吉野 よい経験をしましたね。日本の常識は別の社会では常識ではありません。それを知ることこそ“異質な他者”への寛容性につながるのではないでしょうか。
 


「グローバル市民」とは?

伊藤 4月に行われた新入生オリエンテーションでは、グループごとに「グローバル市民とは何か」を話し合いました。僕のグループが出した答えは「主体性」「異文化コミュニケーション能力」「国際貢献」の3つを兼ね備えた人であること。順天堂大の学是「仁」の精神をあげたグループもありました。

吉野 そうでしたね。自律性(autonomy)はグローバル市民にとって大切ということですね。学生の皆さんには、常に自分で考え、主体的に行動して欲しいと願っています。

授業の内容は?

伊藤 最近「コミュニケーション概論」という授業で、世界には察し合いのある文化(high context culture)とない文化(low context culture)があることを学びました。文化的な背景が異なる人々の間柄では、察し合うことはできないそうです。

吉野 だからこそグローバル社会では言葉で関係を作ることが大切になります。そのための外国語教育に力を入れつつ、本学部では3年次から「グローバル社会」「異文化コミュニケーション」「グローバルヘルスサービス」の3つの領域に分かれて専門性を深めます。異文化コミュニケーション領域では、通訳翻訳についての科目も充実しています。伊藤君は今年、世界陸上の事前キャンプで来日するアメリカ選手団の英語ボランティアをするのですよね。

外国語教育の特徴は?

吉野 12人の少人数クラスをさらに少人数グループに分けて、協同学習で内容重視の英語を学びます。「読む」「聞く」「話す」「書く」に加えて「やりとり(interaction)」を入れた5技能を駆使して様々なテーマを学び、異文化コミュニケーションに使える英語を目指します。

伊藤 みんなとても積極的に発言するので、入学当初はよく「ここは本当に日本の大学なのだろうか」と思っていました(笑)。プレゼンテーションやライティングが課されることも多いです。

吉野 外国語の習得は必須ですが、同時に専門性や思考を深める際には母語もとても大切になります。また習熟度別クラスは作らず、さまざまなレベルの学生が一緒に学び合っています。

伊藤 外国語を自由に話す帰国子女から、どちらかというと苦手な人まで、英語のレベルは本当にさまざまです。ただ英語が苦手な学生にも、思考力や表現力など優れた面が必ずある。お互いの違いを受け入れ、刺激し合える経験は習熟度別クラスでは得られないものだと感じています。

特筆すべき施設・制度は?

伊藤 自由な交流の場として使われている言語学習センターでは、普段からさまざまな言語が飛び交っています。教員室に隣接していて、いつでも気軽に質問できるのも嬉しいですね。

吉野 各学期3回、外国語教育の進捗状況を確認し、アドバイスを行う「言語のカウンセリング制度」を採用しています。不安の解消はもちろん、自分の英語力を振り返る場となり、どのように学習していくと良いのかアドバイスを受けられます。

1期生であることへの思いは?

伊藤 サークルを立ち上げるのもスポーツ大会などのイベントを企画するのも自分たち。国際教養学部の伝統を作りあげていこうと、120人の1期生のうち22人が自治会の役員に立候補しました。僕もそのひとりです。多忙な毎日ですが、とてもやりがいを感じています。

吉野 学部のスタートと同時に素晴らしい1期生を迎えることができました。来年入学する後輩にもよい刺激を与えてくれると確信しています。

 

 

 


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