高校生が外国人と議論し、世界の国々が抱える問題を考える第2回高校生国際会議が、3月23・24日に早稲田塾秋葉原校(東京)で開催され、全国から約50人が参加した。(田崎陸)
勉強しないと、国の発展が遅れる
基調講演では、昨年、車での世界一周を達成した林季一郎さん(クリエイティブキッチン社代表)が講演した。林さんは、中央アジアのウズベキスタンで出会った、学生に感銘を受けたと言う。日本語を勉強し始めてから、半年から1年ほどにもかかわらず、流ちょうに話す彼らに、勉強するのか尋ねるか聞くと、「僕らが1日勉強しないと、国の発展が1日遅れる」と答えたそうだ。
メディアの海外報道は極端
続いて、9つの班に分かれて、日本に住む外国人とのディスカッションが始まった。アメリカ、中国、ケニアなど9カ国の人が各班に入って、高校生の質問に答えながら自国の問題を紹介した。途中で外国人は班を移り、高校生は2カ国の話を聞くことができた。
私が参加したグループでは、まずサウジアラビア出身のアブドラ・マハセン・マハランさんが「電車はほとんどなく、車社会。国の一番の問題は交通」と語った。日本に比べて交通マナーが悪く、事故が頻繁に起きるそうだ。
続いて話を聞かせてくれたのは、フランス出身のファビエンヌ・ギユマンさん。日本ではあまり好まれない転職について、「フランスでは、転職が多いほど経験豊富と捉えられる」と話した。高校生が「移民の排斥が深刻な問題になっているのでは」と尋ねられると、ファビエンヌさんは「それは極端な一面。特に海外の記事は、特異なことを伝える傾向がある」と答えた。
工夫をこらしたプレゼン
2日目は、前日に聞いた各国の問題について、各班で、私たち日本人が取り組める問題解決の案を出しあった。サウジアラビアの交通問題については、日本人の「和の心」を伝えて事故を減らそうと、NPOを立ち上げることを考えた。
各班の発表は、テレビのニュース仕立てにしたり、アニメのキャラクターを使ったりするなど、工夫を凝らした発表をし、会場から笑みがこぼれた。
参加者の1人、齊藤航世君(3年)は「グループのメンバーと本気で話し合い、考えたので最高に充実していて楽しかった」と振り返った。
個人賞を受賞した山田皓介君(1年)は「レベルの高い人が周りにいる中で、賞を取ることができて光栄」と喜んだ。
昨年、実行委員会を立ち上げ、2回の会議を成功させた前代表の藤田真彩さん(現大学1年)は「今回は、前回よりもさらに学べる会議になった。今後の運営は後輩に引き継ぐが、参加者と共に学び、共に行動する団体であり続けてほしい」と話した。
次回は2014年7月下旬に開催される予定。
第1回は昨夏開催
第1回高校生国際会議は、昨年8月13日にJICA地球ひろば(東京)で開催された。外務省の服部事務官と元朝日新聞編集委員の五十嵐浩司さんが講演した。その後、大学生のファシリテーターを交えながら、「貧困」「教育」等のテーマで議論を交わした。代表の藤田真彩さんは、「参加者から海外の生の声を聞きたいという声がある。第2回は外国人をぜひ呼びたい」と話していた。