後半残り2分に同点ゴールを決めた赤木翼

全国高校総体(インターハイ)サッカー男子決勝が8月8日、山梨中銀スタジアムで行われ、東福岡(福岡)が延長戦の末、大津(熊本)に4-1で勝利。相手に走り勝つスタミナと、日本一を成し遂げる強い意志で、17年ぶりの栄冠を手にした。 (文・写真 斉藤健仁)

延長制した身体能力
 前半、東福岡は伝統のサイド攻撃を重ねたが、24分に失点。0-1で迎えた後半終了2分前、赤木翼(3年)=熊本・八代四中出身=が左サイドから上げたクロスがネットを揺らし1-1の同点に追いつく。「相手GKが前に出ていた。逆サイドのネットを狙った」(赤木)
 試合は延長戦に突入。互いにインターハイでは6試合目だったが、東福岡イレブンの足は止まらなかった。2012年度の全国高校選手権で負けてから、選手は自ら率先して70メートル×48本のダッシュとウエートトレーニングを週3回ほど重ねてきた。攻守の起点となった近藤大輝(3年)=福岡・三国中出身=は「体力には絶対の自信があった」と胸を張った。

 

冬の選手権も狙う
 メンタル面でも東福岡が一歩勝っていた。昨年度の全国高校選手権では、優勝候補と言われながらも3回戦で敗退。その悔しさを知る3年生は「自分たちの代で日本一なろうという気持ちが強かった」(赤木)。延長戦に入っても、勝利への気持ちを切らすことなく3得点を挙げ、栄冠に輝いた。
 1997年度、史上初の高校3冠(インターハイ、全日本ユース選手権、全国高校選手権)を達成し「赤い彗星(すいせい)」と称された東福岡の戦いはまだ終わらない。
 森重潤也監督(49)は「やっぱり高校選手権を取らせてあげたい」と話す。中島賢星主将(3年)=同・春日野中出身=は「いつもの戦いができたら冬もチャンスはある。今回の優勝に満足することなく、リーダーシップを取っていきたい」と気を引き締めた。

チームデータ 1970年創部。部員270人(3年生90人、2年生80人、1年生100人)。97、98年度の全国高校サッカー選手権で優勝。主なOBに長友佑都(インテル・ミラノ)、本山雅志(鹿島アントラーズ)。