全国高校総体陸上の女子100メートルで優勝した齋藤愛美(中央)

全国高校総体(インターハイ)陸上の女子100メートルが7月30日に岡山市のシティライトスタジアムで行われ、齋藤愛美(岡山・倉敷中央2年)が11秒78で快勝した。(文・中尾義理、写真・幡原裕治)

向かい風、高校記録更新はならず

地元岡山での晴れ舞台。6月の日本選手権で2位となり、日本のトップレベルに躍り出た齋藤が高校生相手に負けるわけにはいかない。自己ベスト11秒64を上回る11秒5台を、あわよくば11秒43の高校記録の更新も視野に入れていた。

しかしこの日は風に恵まれず、決勝は向かい風1.6メートル。狙った記録は出なかったが、それでも2位の伊藤有那(岐阜・県岐阜商3年)をこの種目では大差と言える0秒2も引き離し、実力差を見せつけた。

「地元優勝はずっと目標にしてきたことなので、それを達成できたのはうれしいですし、応援への恩返しが少しはできたかなと思います」と言いながらも、「向かい風じゃなかったら(狙っていた記録は)絶対に出ていたと思います」。記録に対する悔しい心境ものぞかせた。

全国高校総体陸上の女子100メートルで優勝した齋藤愛美

重圧なし「勝てると思ってた」

今季は高校生の枠を飛び出して、女子100メートルと200メートル日本記録保持者の福島千里(北海道ハイテクAC)を追いかけた。日本選手権で齋藤は両種目とも福島に続く2位。日本のトップで、そして世界の舞台で戦いたいとの意識が一気に高くなった。

「勝って当然」という評価は、時として重圧になるが、齋藤は「今日は朝から勝てると思っていました」と意に介さなかった。

8月1日に行われる200メートルでは、日本選手権で樹立したU20日本記録の23秒46を「抜けるように頑張ります」と意欲満々。順当ならスプリント種目個人2冠は濃厚。今年のインターハイ陸上の女子は、齋藤が記録と記憶に名を刻む大会になりそうだ。