温暖化対策の新枠組み、遅れた日本
地球温暖化対策の新たな国際的な枠組みの「パリ協定」が11月上旬に発効する見通しとなった。温室効果ガスの二大排出国である米国と中国が同時に批准(国として認めること)、インドも批准のための手続きを完了。ドイツ、フランスなど欧州連合(EU)も10月初旬の批准で合意したためだ。
手を打たなければ
最大4.8度上昇
Q 地球温暖化問題とは?
地球温暖化の原因となるガスには二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロン類などさまざまなものがある。中でも二酸化炭素は産業革命以降、化石燃料の使用が急激に増加したことに伴い増加、温暖化への影響度が最も大きいガスとされる。
国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が2014年に出した報告書では、このまま温暖化が進めば最悪のシナリオの場合、2100年の平均気温は最大4.8度上昇するとしている。
食糧生産や社会生活への深刻な被害が心配され、次世代に大きなツケを残さないためにも、各国が早急かつ真剣に取り組まなければならない課題だ。
Q 国際社会の対応は?
地球温暖化の原因である二酸化炭素などの排出を地球レベルで抑えるための国際的な枠組みを定めた「気候変動枠組み条約」は1992年の国連環境開発会議(地球サミット)で調印され、締約国は毎年、温暖化対策を話し合っている。
97年に採択された「京都議定書」は先進国に温室効果ガスの排出削減義務を課したが、排出量の多い米国が離脱し中国、インドが削減義務を持たないなど実効性に問題があった。
温室効果ガス排出
「ゼロ」目指す
Q 新しい枠組みとは?
京都議定書に代わる「パリ協定」は、2015年の第21回締約国会議(COP21)で採択された。途上国を含む全ての締約国が今世紀後半に排出量を実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇幅を2度未満、できれば1.5度に抑える目標を掲げた。
パリ協定の発効には、55カ国以上の批准と、批准各国の温室効果ガスの合計が世界の総排出量の55%を占める必要がある。
Q 日本はどうするの?
条約事務局によると、9月28日時点の批准国は61で、協定発効に必要な55カ国を超えている。また、批准国の排出量が世界全体に占める比率は47.79%で、これにドイツ、インド、フランスを加えると発効に必要な55%に達する。
排出量6位の日本(3.79%)は国内議論が遅れており、世界の潮流に後れをとった形だ。