映画「スウィングガールズ」のモデルになった兵庫・高砂高校ジャズバンド部。近年はプロミュージシャンたちとの共演も果たし、年間30回以上の公演を通じてジャズの魅力を発信している。 (文・写真 白井邦彦)

トロンボーンの北風翔大君(3年)は、部が主催した入学直後の新入生向けコンサートで衝撃を受け、「かっこいい」と部の門をたたいた。サックスの橋口志穂さん(3年)は「家が近所なので高砂に入学し、楽器の演奏経験があるので何となく入部した」。入部の理由はそれぞれだが、すぐに曲を自由にアレンジできるジャズの面白さにハマった。

部のOBたちは、プロから高い評価を受けてきた。それだけに周囲の期待は高く、練習は厳しい。入部者の半数近くが楽器初心者だが、演奏を完璧にするために1、2年時は平日2時間、休日4時間ほぼ通しで練習する。橋口さんは「みんな好きでやっているので、誰も文句は言わない」と話す。

現在は、3年生を中心に演奏力をさらに高めようと、練習の前に必ず演奏ミーティングを行うくらいに熱を入れている。

年間30回以上の公演を行い、高い演奏力を身に付けてきた。その実力を買われ、近年では日野皓正や綾戸智絵ら著名なアーティストとの共演も果たした。基本ができていれば、誰とでもセッションでき、音楽で心を通わせることができるのもジャズの魅力の一つだ。 5月12日には神戸最大の音楽祭「神戸新開地音楽祭」に出演。部長の吉川一穂さん(3年)は、陶酔するようなサックスのソロ演奏で会場を沸かせた。「自分たちが楽しみ、聴いている人も体が揺れる。会場が一体になった時が、最高に気持ちいい時間です」と、吉川さんは語る。