学校の中に水族館があり、しかも生徒が運営しているというから驚きだ。愛媛・長浜高校水族館部は、月1 回生物教室を「長高水族館」として一般公開している。150 種類、約2000 匹を飼育。部員の親しみやすい解説が評判を呼び、人気スポットとなっている。(文・写真 藤川満)

毎月第3土曜の公開日には、午前11時の開館を待ちかねたように、地元の家族連れはもとより、遠方からも見学者が足を運ぶ。来館者数は平均250 人。多い時には500 人を超える。

現在、近くの海や川で捕獲したり、漁師に譲ってもらったりした魚や、愛好家から譲り受けた沖縄近海の魚を飼育展示している。餌やりや水槽の手入れ、研究活動を行っている。生き物を扱うだけに、お盆や正月でも3日間続けて休むことはない。

磯崎麻里さん(3年)は「稚魚の世話や魚の名前を覚えるのは大変ですが、新しい命が次々生まれてくるのが面白い」と、部活動の醍醐味を語る。

「この水族館が自分を大きくしてくれた」と話すのは部長の苅田祐喜君(3年)。瀬戸内海の島で育った苅田君は、中学時代から熱帯魚に魅了され、長浜高校に迷わず進学を決めた。現在は下宿しながら通学している。「これまで人と話をすることが苦手でしたけど、お客さんに魚の説明をするうちに会話が楽しくなり、性格も明るくなった」と声を弾ませる。人見知りだった部員たちも、活動を通じて皆明るくなった。顧問の重松洋先生も「生徒に母校への誇りを芽生えさせ、自信を与えた」と語る。

子どもからお年寄りまで、誰にでも丁寧に解説をする部員の姿は、自信と喜びに満ちあふれていた。