30億人を超える人口を原動力に急成長するアジア経済。近い将来、世界のGDPに占めるアジア地域の割合は5割を超えると予想される。4月に開設された地球社会共生学部が目指すのは、世界、とりわけアジアの人々と共生・協働できる地球市民の育成。そのための学びの導入となるのが「アジアの経済入門」だ。

アジア経済の成長を促した“3つのファクター”とは

日本の援助機関や国際機関の職員として世界53カ国を巡り4カ国に駐在、長年国際協力に従事してきた橘田正造教授。「アジアの経済入門」ではそんな橘田教授ならではの体験談を織り交ぜ、大きなうねりを見せるアジアの政治・経済を分かりやすく解説する。「本学部では東南アジアの大学への半期海外留学が必須。このためまずはアジア経済の概要を理解し、アジアに興味をもつきっかけとなるような授業を心がけています」と橘田教授は話す。

 橘田教授によれば、アジアの経済成長にダイナミックなインパクトを与えた要因は3つ。ひとつは1985年にG5(当時:米・英・仏・日本・西独)によって発表されたプラザ合意(ドル高是正に向けたG5各国の協調行動への合意)だ。「以降の急速な円高により、賃金の安い東南アジアに工場を移転する日本企業が急増しました」

 2つ目が1991年の東西冷戦の終結。当時のソ連、東欧という経済的な後ろ盾を失ったベトナム、ラオス、カンボジア等のアジアの旧社会主義国が市場経済に移行し、ASEANに加入するきっかけとなった。

 3つ目が海外直接投資の増加だ。海外直接投資とは、現地法人の設立など経営参加や技術提携を目的とした対外投資のこと。「途上国には資本、技術、人材が不足しています。日本など先進国の企業が資本と技術を持ち込み、現地の人たちに職業訓練をして雇用することが、アジアの経済発展を加速させてきたのです」

大蔵大臣になったつもりで経済政策を提言

学期後半で受講生には“中進国の罠”といわれる経済発展の停滞期に陥ったマレーシアについて『あなたがマレーシアの大蔵大臣だったらどんな政策を提言しますか』と問うレポート、プレゼンテーションも課した。「授業で学んだことをふまえ、さまざまな視点・材料で考察されたレベルの高いレポート、プレゼンテーションが多かった。本学部1期生の潜在能力の高さを感じました」と橘田教授は言う。

 後期には、元外交官、国際機関の元職員、ジャーナリストなどグローバルに活躍する9人の青学卒業生を招いたオムニバス授業「世界の青学」を開講する。「身近な存在である青学卒業生に刺激を受け、早めに将来の準備を始めてほしい」と橘田教授。高校生には「日本の中学や高校の授業では、受験で課せられる科目に重点を置く傾向がありますが、アジアの現場で『現代史は何も知らない』は通用しません。グローバルに活躍したいと考えるなら、ぜひ自分から歴史、特に現代史を学んでほしい」とメッセージをくれた。
 

先生の体験談に刺激を受けています
地球社会共生学部 地球社会共生学科1年
大場 健太郎さん 静岡・浜松日体高等学校出身
 家庭の方針で、中学・高校時代にアジアのさまざまな国を家族で訪れました。なかでもカルチャーショックを受けたのはフィリピンのスラム街。日本にいたのでは想像もできないような環境で生活する人々を目にして、世界、とくにアジアについてもっと知りたいと思いました。
 「アジアの経済入門」では、橘田先生の臨場感あふれる体験談をうかがえるのが楽しみでした。雨期のバングラデシュのホテルで目覚めたら、近くの池が氾濫して家がプカプカ浮いていた話。その家の人たちがそんな状況に慣れている様子だった話。タイでゲリラの狙撃兵に包囲されながらイカダで川を下った話など、毎回驚いたりドキドキしたり。同時に、アジアの発展のためにできることをしたいという思いがますますふくらみました。卒業後の進路については未定で、後期の「世界の青学」にとても期待しています。
 地球社会共生学部の良さは、世界が見えるようになること。アジアに対する興味を共有できる仲間たちと日々刺激し合って学んでいます。

 

一般入学試験・大学入試センター試験利用入学試験の出願方法が「インターネット出願」に変わります。
TEAP(アカデミック英語能力判定試験)を出願資格として利用する入学試験を導入します。
 実施学部・学科 ※一部の方式にて導入 
文学部 英米文学科、総合文化政策学部 総合文化政策学科、地球社会共生学部 地球社会共生学科
*詳細は、「入学試験データ&ガイド2016」や本学Webサイトをご確認ください。

 

 

 

 

[青山キャンパス]
文学部/教育人間科学部/経済学部/法学部/経営学部/国際政治経済学部/総合文化政策学部
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理工学部/社会情報学部/地球社会共生学部(2015年4月開設)

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