埼玉・埼玉栄高校の写真部員は、「エブリデイ・エブリタイム= シャッターチャンス」をモットーに、常に被写体を探している。8月の写真甲子園では初優勝した。(文・写真 野口涼)

学校にいる時も休みの日も、部員はデジタル一眼レフカメラを持ち歩く。自分が好きなもの、面白いと感じた瞬間を逃さないためだ。

人や物、景色、出来事など、撮影対象は部員によって異なる。色や光にこだわる部員もいる。部長の宮城理恵さん(2年)は「いつどこにいても発見があります。写真部に入ってから日常が全て楽しくなった」と話す。

撮影技術や被写体との接し方は、先輩を手本に学ぶ。毎年春と夏の合宿で東京の築地市場を撮影するが、撮りたい人に、なかなか声を掛けられないことも。中丸ひなこさん(2年)は「1年生の時は『撮らせてください』と頼むだけで精いっぱい。ようやく今年の夏から『いい表情を撮ろう』と考える余裕ができた」と話す。

日原慧子さん(3年)は「カメラを持っていると、いろいろな人と話ができる。自分の世界が広がります」と語った。

北海道で8月にあった「写真甲子園」には3人が出場。共通テーマの「風土」を撮るために、3人はカメラ片手にトマト農場を駆け回った。宮城さんは「トマト一つ一つがとても奇麗だった」と、愛情を注がれて育ったトマトを撮影した。部は念願の初優勝を果たした。

 
【TEAM DATA】
1973 年創部。部員22 人(3年生6 人、2 年生5 人、1年生11 人)。活動は毎日。2012 年3月、全国約30 の高校写真部に呼び掛けて、東日本大震災の被災地支援を目的とした写真集を発行。全国高校総合文化祭に15年連続出場中。