京都の男子校唯一の吹奏楽部は「吹いて奏でて楽しみます」の精神で、音楽を作り上げる喜びを味わい、笑いも交えて聴く人を楽しませている。 (木和田志乃)

主な活動は、年1回の定期演奏会、コンクールへの出場、運動部の応援など。同校の周辺には観光名所が多く、春と秋には校門付近でも演奏を披露する。「外国人も含めた大勢の観光客が足を止めて聞いてくれます」と、部長の大道一輝君(2年)は喜ぶ。「京都で学校生活を送る意義を感じてほしい」(顧問の中村憲幸先生)

聴く人を楽しませるのは演奏だけではない。定期演奏会では、司会の2人が観客を沸かす。例えば、人魚姫アリエルを主人公とする映画の挿入曲メドレーの紹介はこうだ。「人魚姫といえばアリエール」「それは洗濯に使うやつやろ」。司会を務めた荒井優杜君(1年)は「(漫才風の掛け合いは)関西人として欠かせない」と力を込める。演奏会後のアンケートでは「司会が面白かった」とのコメントがいくつも見られるという。

男子が奏でるハーモニー

週6 日、放課後に練習する。部には楽器の経験者もいれば、中学では運動部だった初心者もいる。サックス担当の岡田陽裕君(1年)は「息を吸って、みんなで同時に音を出す一体感」に魅せられている。

1人が楽器を吹き始めたら、いつの間にか全員が合わせているというノリのよさと、男子だけだからこそできる、表現が特徴だ。荒井君は「強弱をはっきりつけた力強い演奏が目標」と意気込んだ。

部長の言葉 達成感がたまらない 大道一輝君(2年)

 

もともと音楽は好きでしたが、吹奏楽を通じて音楽はもちろん、音楽以外の面でも表現が豊かになったと思います。全員で一つの曲を完成させた時の達成感がいいですね。

【TEAM DATA】
1957 年創部。部員22人(3 年生4 人、2 年生5人、1 年生13 人)。2011 年京都府コンクール金賞、12 年銀賞、13年銅賞。金管5人、木管11 人、弦楽器1人、打楽器5人。