ゾーリンジャー先生

[獨協大学 外国語学部 英語学科 A.ゾーリンジャー ゼミ]

ゼミで大事にしたいことは一つのことを深く追究する姿勢

母国アメリカで文化人類学を学び、日本と出合い、能面と出合い、深く追究していくうちに芸術、芸能など日本のさまざまな伝統文化の研究者となったゾーリンジャー准教授。来日したばかりの20代の頃は、能面の制作に8年間も携わったというから驚きだ。

 日本人でも日本の伝統文化を詳細に語れる人は多くはない。しかし、ゾーリンジャー先生は、「日本人が伝統文化のことを知らなくても恥じることはありません。私だってアメリカの伝統文化については、何も知りません。逆に深く追究すれば、誰でも詳しくなれます」と笑う。その言葉からもうかがえるように、先生は「ひとつのことを深く追究する」という姿勢を大切にしている。ゼミでは、日本の伝統文化を軸に研究活動を行うが、その指導の根底にもそんな思いがある。

 ゼミは3年次からで、すべて英語で行われる。「最初に4人ほどのグループを作り、江戸の日本絵画の展覧会などを鑑賞します。その中でテーマを一つ決め、調査発表を行いますが、これは研究の進め方を学ぶと同時に、チームで協力することも学んでほしいからです」と先生。

 また、毎年東京で開催される、主に国内外の大学院生が英語で研究発表をする「ASCJ日本アジア研究学会」を聴講し、ハイレベルな研究に触れる。当日は各自が選んだセッションに参加して、後日ゼミでその報告、説明を行う。
 

世界への発信には専門を語れる英語力が必要

秋にはペアを組んで自由に研究課題を決め、調査、研究、プレゼンを行い、優秀者は京都で開催される「ペアで紹介する日本文化プレゼンコンテスト」に応募する。応募すれば毎回入賞する強豪と言える同ゼミ。昨年は応募そのものをしなかったが、一昨年は3組が第一次審査を通過し、優勝と準優勝を獲得した。

 誰もが最初から完璧なプレゼンテーションができるわけではない。「それでも経験を重ねていくことが大事なのです。失敗してもそこから学ぶことができます。そして研究を通して、また日本の伝統文化について英語で表現する過程で、英語力は確実に鍛えられます」
 そもそも、英語で進める授業に日本の学生はついていけるのか?「入学時に問う英語力の基準が高く、留学生や帰国子女が多いのも事実ですが、自分の力で努力して入学してくる学生もいます。1・2年次にしっかり英語を学ぶので、3年次には問題なくゼミについてきていますよ」と先生は説明してくれた。

 英語で日本文化を学ぶ意義については「学問に必要な国際語は英語です。日本という島国の文化や技術を外に広めようと思えば、その発信に英語は欠かせません。それも専門を語れる英語力です。ですから、本学の英語学科は英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ学科なのです」と答えてくれた。

 「何かプロジェクトを与えられたら、“やらなきゃ” ではなく、“やるんだ” と意識し、全力で取り組むことが大切です。やるからには、プライドをもって最後まで突き詰めて取り組んでください」

 ゾーリンジャー先生がゼミ生に求めることと、高校生へのアドバイスは同じだ。

 先輩に聞く
丸山さくらさん・英語学科3年
(東京・文京学院大学女子高等学校出身)
 英語での日常会話はできるのですが、もっと専門的な会話もできるようになりたくて、獨協大学を選びました。ゼミでは、江戸絵画を見て初めて研究発表をしたばかり。作者は有名でも個々の作品についての情報が乏しく、思うように調べられないことに苦労しました。大学選びでは、実際にキャンパスに足を運び、「自分の居場所だ」と感じられる大学を選ぶことをオススメします。

久木田翔太郎さん・交流文化学科4年
(東京都立国際高等学校出身)
 将来は観光業に就きたいと考えていますが、観光に特化せず、国際政治や文化など様々なことを学びたくて、獨協大学に入学しました。私は交流文化学科ですが、学科の垣根なくゼミを選べるので英語学科のゼミに所属しています。さまざまな地方・国の人が集まり、たくさんの価値観を吸収できる大学で、留学もしやすいのが魅力。人生のドアは一つではなく、たくさんのドアを開けて学べると実感しています。

 

 




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