神奈川県内3校と大槌高校の生徒の合同演奏もあった (12月28日、神奈川・海老名市文化会館内)

神奈川の希望ヶ丘・湘南・川和の3高校の吹奏楽部が12月28日、岩手・大槌高校を招待し、東日本大震災の復興支援のためのチャリティーコンサートを県内で開いた。2012年から毎年開催し、4回目。神奈川の生徒たちは、文化祭や定期演奏会でコンサートの資金を集めてきた。
(文・堤紘子、写真・田部翔太)

大槌町に音楽堂を

チャリティーコンサートの目的は、津波で大きな被害を受けた大槌町に音楽堂を建てる計画を支援することだ。コンサートでは、各校の演奏や、大槌町の島がモデルとされる「ひょっこりひょうたん島」のテーマ曲などの合同演奏が披露されたほか、大槌高校の部員による震災体験の発表もあった。また、大槌町の現状を模造紙にまとめて会場に展示し、来場者に募金を呼び掛けた。

生徒たちが資金集め

大槌高校の吹奏楽部を招待する費用は、神奈川の3校が定期演奏会や文化祭などでの募金で賄った。大槌高校の部長・北湯口佳澄(きたゆぐちかずみ)さん(2年)は「(普段は8人で活動しているので)大人数で演奏できる、このコンサートが本当に待ち遠しかった。皆さんには感謝するしかありません」と話す。

「復興は途上」実感

昨年9月には、3校の約20人が大槌町を訪問。大槌高校の生徒の案内で津波の跡などを見学し、ショッピングモールで合同演奏会を開いた。希望ヶ丘高校の西村瑞穂さん(2年)は「いまだに津波のつめ跡が残っていて、復興はまだ続いていると実感した」と振り返る。
 コンサートは近年、合唱部や大槌町出身の演奏家らが参加するなど、輪が広がっている。希望ヶ丘高校の部長・早野莉佳子さん(2年)は「これからも、たくさんの人に参加してもらい、『震災を忘れない』と多くの人に伝えられるコンサートにしたい」と語った。