原田佐和子さん(東京・桐朋女子高校音楽科2年)は2024年、「全日本学生音楽コンクール」のピアノ部門・高校生の部で日本一に輝いた高校生ピアニストだ。どうピアノに向き合ってきたか聞いた。(文・黒澤真紀、写真・幡原裕治)
ピアノを毎日4時間練習、音楽漬けの日々
ピアノ一筋の生活を送っている。授業は1コマ90分で1日4コマ。音楽科のため、音楽の専門科目が多くある。

毎日、帰宅後の2時間、夕食などをはさんでさらに2時間、計4時間はピアノの練習に充てている。
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<ある日のスケジュール>
7時45分 起床
8時45分 授業スタート
16時 下校
17時 帰宅
18時~20時 ピアノ練習
20時 夕食
22時~24時 ピアノ練習
24時 就寝
練習漬けの日々を送るが、努力しているとは思っていない。「『努力』って思うと楽しくなくなっちゃうんです。弾けなかったり壁にぶつかったりすることもあるけど、全部成長のきっかけです」
友達とのおしゃべりも演奏に影響
小さい頃は「一日中歌っているほど歌が大好き」だった。「ピアノを弾けばもっと音楽を楽しめるかもしれない」という両親のすすめで、5歳でピアノを始めた。
ピアノから心が離れた時期もあったが、「得意なことはピアノしかない」と桐朋女子高校音楽科へ進学。音楽が好きな仲間たちに囲まれ刺激を受けている。
「日常の感情もピアノに影響します。例えば、友達とおしゃべりしたときのワクワクした気持ちを思い出しながら弾くときもあります」。友達からは、ムードメーカーと言われる。「人を笑わせるのが好きなんです」

「音をコントロールできてない」厳しい言葉で本気に
高校2年の夏、内外の著名な音楽家による指導を受けられるセミナーを受講した。「先生に『ただ弾いているだけで音をコントロールできていない。今のままじゃ2年後にはアマチュアになってしまう』と言われたんです」
厳しい言葉が「『楽しく弾いていればいい』ではもう通用しない」と、原田さんを目覚めさせた。「ピアノを本気でやらなきゃって、覚悟が決まりました」
コンクールは「課題の答えを出す場所」
12月、全日本学生音楽コンクールの舞台に立ち、ピアノの部で優勝。高校生ピアニストの日本一になった。「重力に任せて弾くのではなく、指をコントロールして音を作るのが課題でした。今もまだ完璧にはできていないんですけど、少しは成長できているかな」

コンクールは「向かうべき目標」ではなく、「成長の場」だととらえている。「結果を出す場所だと思われがちだけど、私は自分を試す場所だと思っています。悩んできた課題を、自分なりに考えて答えを出す場です」
悩んでいるときは苦しい。それでも、悩みがなくなると、ふと「悩んでいた時のほうが楽しかったな」と感じるという。「何も悩みがないと、逆に成長していない気がするんです」

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【一問一答】ハリポタ熱が再燃中
―好きなものは?
ハリーポッターです。昔もハマってたんですけど、最近再燃してローブを買いました(笑)。ハリーポッタースタジオにも行きました。
―休みの日は、練習以外に何してるの?
ひたすら寝ています(笑)。あと、犬と遊んだり、映画を見たりしています。
―得意科目は?
あんまり得意ってほどの教科はないんですけど、暗記が得意なので、英単語テストとかは割と得意ですね。
―ペットは飼ってる?
シェットランド・シープドッグを飼ってます。もふもふでめちゃくちゃかわいいんです!