第36回全国高校ハンドボール選抜大会(3月25日〜30日、静岡県エコパアリーナほか)に出場した彦根総合(滋賀)。部員わずか9人の部が、初の全国出場を果たした裏には、毎日ヘトヘトになるまで続けてきたフィジカルの強化があった。(文・写真 白井邦彦)

7人競技のハンドボールで、部員数9人は選抜出場校の中でも異例の少なさだ。競技経験者は3人。紅白戦もできない環境で、早瀬司監督(37)が徹底したのはフィジカル強化だった。「初心者が2年で経験者に勝つのは難しいが、フィジカルだけなら互角に渡り合うこともできる」

練習はほぼ毎日。週に1度は必ず筋トレの日を設ける。普段の練習日も、シュート練習などの合間にフィジカル強化のメニューをこなす。

例えば5㌔のメディシンボールを使った1対1。守備の選手はメディシンボールを抱えて、攻撃選手のフェイントに対応する。とにかくよく走り、声を出す。練習の最後は腕立てと腹筋で総仕上げ。終わった時には、全員が立てないくらいにヘトヘトだ。

エースの柿木裕太(3年)=滋賀・瀬田中出身=は、1年生の時にベンチプレスで20㌔しか挙げられなかったが、今では70㌔を挙げるまでになった。「試合で当たり負けしなくなった」と話す。GKの木戸和馬(3年)=同・朝桜中出身=は「スタミナがつき、試合中に集中力が切れることがなくなった」と手応えを感じている。

選抜大会は1回戦で市岐阜商(岐阜)と対戦し、16―29で敗れた。主将の橋本侑典(3年)=同・老上中出身=は「もっとフィジカルを強化して、インターハイ初出場を目指す」と話した。