第42回全国高校ハンドボール選抜大会が3月23~29日、千葉県と埼玉県の各地で開催された。男子は香川中央(香川)が9年ぶり3回目の優勝を果たした。女子は明光学園(福岡)が創部5年目にして日本一に輝いた。(文・写真 小野哲史)

スピードを生かしたプレーで香川中央の攻撃陣をリードした木太隆雅

異動する監督、胴上げを

20年連続27回目の出場となった香川中央(香川)は、現チームが始動した昨秋以降、思うような成長が見られず、河合哲監督は「全国で優勝できる確率は30%しかないぞ」と、いつも厳しい言葉で選手に危機感を持たせていた。「うちは攻撃力がないので、シュートが入らなくても守る。入っても守る」(河合監督)ことを目指し、守備の強化に多くの時間を割いた。

今大会の直前、19年間チームを率いてきた河合監督が、4月から他校への異動を発表した。「『最後に先生を日本一の監督にして全員で胴上げしよう』というのが、チームの合言葉になった」(主将の田井健志・3年)

後半に猛攻撃

四国大会を1位で通過したが、今大会は初戦から苦しい戦いが続いた。準々決勝の浦和学院(埼玉)戦は、「会場のほとんどが相手の応援で完全アウェーの状態だった」(田井)が、接戦を粘り強く制して勝ち上がった。決勝でも相手の3点リードで前半を折り返し、後半はその差を5点に広げられた。しかし、「ここまで来て負けるわけにはいかない。今度は俺たちが追いつく番だ」(田井)と、後半16分以降の猛攻で一気に逆転した。

有言実行のエース

ディフェンスを軸に戦うチームにあって、攻撃の柱として奮闘したのが、エースの木太隆雅(3年)だった。「全ての試合で10点以上取って活躍する」と自身に課した通り、全5試合で2桁得点をマーク。大会の最優秀選手に選出されている。

それでも木太は「これで満足することなく、次のステージでも勝てるように頑張りたい」と語り、田井も「まだ課題は多い。一回り成長した姿で、インターハイや国体に臨みたい」と、さらなる成長を誓う。

 
【TEAM DATA】
1989年創部。部員29人(3年生11人、2年生7人、1年生11人)。主な実績は全国高校総体(インターハイ)1994年優勝、2002年3位、全国選抜94年と10年優勝、04年準優勝、09年と13年3位、国民体育大会13年準優勝など。