髙橋 俊 専任講師

【埼玉医科大学 保健医療学部 臨床検査学科 髙橋 俊 専任講師】

臨床検査技師の仕事とは?

2015年4月、健康医療科学科は名称変更を行い、臨床検査学科として新たなスタートを切った。名称の通り、臨床検査に特化した学びで、医療機関で臨床検査技師として活躍するための国家資格取得を目指す。

 臨床検査技師とは、病院などの医療機関において、病気の診断や治療法に必要とされる検査データを提供する仕事だ。そのため、心電図や脳波、超音波などの「生理機能検査」と、血液や尿、体の組織などを採取して検査する「検体検査」を担当するほか、血液採取も行えるため採血業務も担う。

機器も扱う臨床検査技師には医用工学の知識も不可欠

臨床検査技師は、生物、化学の知識はもちろん、物理の知識も必要だ。同大では1年次に基礎学力を徹底して学ぶ。

 2年次には、医用工学も学ぶ。「臨床検査技師の仕事には、機器の操作も含まれます。そこで、医用工学の知識が必要となります。国家試験でも工学系の知識が問われますし、もちろんシステム化が進む医療現場では、コンピュータの知識も求められます」

研究室の様子

感染症医療のカギは「微生物検査」

「微生物学」「臨床微生物学」は、微生物とは何か、どういう細菌がどんな病気を引き起こすか、さらには、細菌を見つけるための手法などを習得する。

 最低限覚えなければならない細菌だけでも50種類以上。ラテン語のアルファベット表記のため、学生は暗記に苦労するという。「小学生の頃、好きなポケモンの名前や習性はいくらでも覚えられたでしょう? 細菌のことも好きになって楽しく覚えてほしいですね」

 それには、細菌を育てる楽しみを知ることが近道だ。「同定検査といって、細菌を特定するための検査実習では、まるで刑事が犯人を見つけるかのように、悪い細菌を特定する楽しみがあります。また、温かいところで24時間培養し、コロニーといって細菌が目に見える塊になるまで増やすのですが、見えないはずの細菌が目に見えてくるとハマりますよ」と髙橋先生はにっこり。

 「医療現場で検体から最初に細菌を見つけるのはほぼ臨床検査技師です。感染症医療の最前線で働くということに、きっとやりがいを感じると思います」

 2015年4月からは、法改正にともない、臨床検査技師は鼻腔採取もできるようになった。「皆さんがインフルエンザの検査をする時に、鼻からウィルスを採取しますよね。あれが鼻腔採取です」と髙橋先生。それに伴い、今後は鼻腔採取の実習も導入される予定だという。

 最後に髙橋先生は高校生にメッセージを送ってくれた。「附属の大学病院が近いため、検査部とタイアップした研究もできるのが本学の魅力です。実際に現場に足を運び最新の機器に触れたり、現役の臨床検査技師が実習の補助をしてくれたりするなどサポート体制も充実しています。もし、臨床検査技師の仕事に興味をもってくれたなら、強い意志で勉強を頑張ってください」

 先輩に聞く
健康医療科(臨床検査)学科3年 小林美優さん
(埼玉県立本庄高等学校出身)
 実習で口腔内の細菌を採取しましたが、培養した細菌によって匂いが違うのに驚きです。細菌は匂いでも予測がつくんですよ。臨床検査技師というと、ずっと検査室にこもっているイメージがあると思いますが、実は、血液採取やエコー検査などで、患者さんと接する機会も多いんです。そのためにも、患者さんとコミュニケーションをとることができる親しみやすい技師を目指しています。

健康医療科(臨床検査)学科3年 田平真由さん
(埼玉・西武学園文理高等学校出身)
 臨床検査学科は、座学だけでなく実習にも力を入れているので、白衣を着て実際に手を動かす授業は楽しいですね。髙橋先生の微生物の授業で配られるプリントは、微生物の働きが日常生活を例としたストーリーになって紹介されていてとても覚えやすいんです。少人数なので、先生との距離も近く、わからないことも丁寧に教えてもらえます。




〒350-1241
埼玉県日高市山根1397-1
保健医療学部入試事務室
TEL.042-984-4801
http://www.saitama-med.ac.jp/