皮の色味や実のグラデーション、種の質感など、細部までリアルに再現された巨大なかぼちゃ。この彫刻作品は、第47回全国高校総合文化祭(2023かごしま総文)の美術・工芸部門に出品されました。作者の竹内杏里さん(愛知・岡崎城西高校3年)に、どのように制作したのか聞きました。

南瓜(第47回全国高校総合文化祭 美術・工芸部門出品)

かぼちゃは祖父との大切な思い出

―かぼちゃをテーマに選んだ理由を教えてください。

中学生の時、美術の授業で粘土を使ってかぼちゃを彫刻しました。かぼちゃは私の好物でもありますが、遠くにいるおじいちゃんとよく一緒に食べた思い出の食べ物です。かぼちゃの中身がどのようになっているのか、色、形などをじっくり観察しながら彫刻していくことに、楽しさを感じました。それが私にとって特別であるかぼちゃを、さらに大きくして作りたいと思ったきっかけです。

―こだわったり、工夫したりしたポイントはどこですか?

本物そっくりのかぼちゃを作りたかったので、まずはかぼちゃをスーパーで買ってきました。じっくり隅々まで観察し、感触、色、匂いなどを感じながら作りました。

段ボールで骨組みを作った

本物と見比べリアリティーを追求

―難しかった点、苦労した点は?

種を覆(おお)っている、クモの巣のようなわたや筋を粘土で再現するのが難しかったです。色を塗るときは、種の色やかぼちゃの側面の色を本物のかぼちゃの色と何度も見比べながら作業しました。

かぼちゃをそんなにもしっかりと観察することはなかったので、私にとっては何もかもが新鮮でした。たくさん苦戦しましたが、かぼちゃがどんどん完成に近づいていくことにわくわくして楽しかったです。

本物のかぼちゃを観察しながら色を塗った

―制作中、印象に残っているエピソードはありますか?

大きくて重い作品なので、美術室で制作するとき、毎回3〜4人で運びました。作業が遅れていたため、冬休みには家に持ち帰って作業しましたが、持ち運ぶときは友達や家族に手伝ってもらいました。みんなの協力がなければ完成させることはできなかったと思います。とても感謝しています。

―よい作品を作るためのコツや、上達のためにおすすめの練習方法を教えてください。

題材として大好きなものを選び、自分の気持ちに正直になることです。私は「おいしいかぼちゃになってほしい」という気持ちを込めながら作りました。