軽井沢にあるインターナショナルスクール・UWC ISAK Japan(長野)の高校2年生5人は、中高生が3日間全て英語で行う起業イベントを開催した。主催者を代表して、三浦百音さん(2年)がレポートを寄せてくれた。(写真・本人提供)

3日間、全部英語

私たちが企画した「Entrepreneur Weekend」は、3日間で社会のニーズを解決する新しいビジネスモデルを作る起業イベントです。3月に第2回目を開催しました。UWC ISAK Japan(以下ISAK)の在校生とISAK外の中学生以上の生徒が参加対象で、全て英語で行いました。学校は関与しない、学校外の課外活動です。

第2回目のモットーは、「Prove itwith actions, not with words」。「言葉で証明しようとするのではなく、行動で証明しよう」という意味が込められています。

Entrepreneur Weekendの参加者

ビジネスプランを話し合う

初日は、やってみたいビジネスプランを参加者全員が1分で提案し、チームメイトの勧誘を行いました。その後、参加者による投票を行い、最終的に5つのアイデアが選ばれました。

  • 1. 観光地のユニークさや魅力を伝える観光マップ
  • 2. 音楽経験がなくても作曲が出来るアプリ
  • 3. 寮や新居をデコレーションするためのインテリアを集めるプラットフォーム
  • 4. フードロスを削減することを目指すパン屋さん
  • 5. オンライン上で試着が出来るアプリ

各アイデアを提案した人をリーダーとして、参加者はそれぞれ好きなチームに入り、3日間をともに駆け抜けるチームが結成されました。

起業家からアドバイス

2日目は、マインドマップを通してアイデアを深め、ニーズを確かめるため軽井沢駅に街頭インタビューに挑戦。道ゆく人に質問したり、自分のビジネスアイデアに関連する店に話を聞きに行ったりしました。

街頭インタビューを行う参加者

起業したISAKの卒業生や地元軽井沢の起業家などに、ビジネスプランについてアドバイスをしてもらいました。

実体験をもとにしたアドバイスは、厳しいながらも、ビジネスアイデアをより実現性の高いものにするためのコーチングの時間になりました。アイデアがビジネスとして成立しないということが判明し、「ピボット(路線変更という意味)」を行う様子も見られました。

アイデアを白紙に

3日目の最終プレゼンテーションには、2人の投資家が審査。1日目から順調に作業を進めていたのに3日目の朝、「観光客向けにウォーキングマップを提供するサービス」で進めていたチームが、突然プランを白紙に戻しました。

話し合ううちに、「なぜ、私たちがこのビジネスをやるのか」という問いにぶつかり、チームメンバーの強みである「オタク」を活かした「アニメの聖地巡礼のマップを提供するサービス」アイデアに切り替えました。このピボットが功を奏し、優勝しました。

チームに分かれてビジネスプランを考案した

アイデアを実現させる重要性実感

私が印象に残っているのは、審査員の「私たちはアイデアを審査するのではなく、プロトタイプ(ビジネスモデルの試作)を審査します」という言葉です。推測や思いつきではなく、「ニーズがあってからこそ生まれるのがビジネス」であると改めて考えさせられました。

また、参加者の一人が、「起業は、魔法のようにある日パッとアイデアが浮かび、それがビジネスとして成立すると思っていたが、実際はそんな簡単なものではなかった」と言っていたのも印象的でした。

起業は、アイデアよりもアイデアを実現させることが重要です。起業の難しさを痛感したと共に、自分がどんな社会問題を解決したいのかを深く考えた3日間になりました。