私は校則が厳しい学校から離れたい思いで高校1年生から1年間、半ば勢いでカナダに留学しました。海外で暮らすことで新しい自分に出会った経験をお話しします。(高校生記者・detective =3年)
学校を好きになれなかった
私は中学受験に失敗し、第3志望校に入りました。しかし妙なもので、あまり行きたくないと思っていた学校にも慣れ、幸いなことに友達にも恵まれました。
順調かと思いきや、私はどうしても学校自体を好きになれませんでした。その理由は、あまりにも厳しすぎる校則です。登下校時のスマホ使用が禁止されていたり、中学生はクラスメートとLINE交換してはいけなかったり……。守らなければいけないことがあることは承知していましたが、理不尽な校則を守れと先生に言われても、守る気にはなれませんでした。
勢い任せに「留学する!」
中2になると、新型コロナウイルスが流行。学校に行けず、ただ家で過ごすだけの日々は本当に苦痛でした。
中3の頃にようやく日常が戻り始めましたが、やっぱり学校や先生たちのことは苦手でした。そんな中で勢い任せに、周囲の友達や先生、親に「高校1年生から1年間留学する!」と言いました。「英語力を伸ばしたい」と思っていたのはうそではありませんが、それ以上に「この学校から1年でも離れたい」「海外に行くってかっこいい」という理由の方が大きかったです。
もともと英語が苦手ではなかったため、誰もそんな私を止める人はおらず、とんとん拍子で話が進んでいき、気づいたらカナダ留学の渡航の日を迎えていました。見栄っ張りな性格もあり、友達や親の前では強がっていましたが、内心はかなり不安でした。
うなずくだけの私に友達の苦言
カナダでの生活は思っていたより順調で、友達もでき、授業にもついていけたので「案外私できるじゃん」と自信を持ち始めました。しかし、ある時友達に言われた言葉に衝撃を受けました。
英語が得意とはいえ、ネーティブの友達の会話のスピードは速く、最初の方はうなずくだけで精いっぱい。すると1人の友達が「うなずいているだけじゃ、あなたが本当は何を思っているかわからない。もっと自分を表現していかないと」と言ったんです。
私は「間違った英語を使って失敗したくないから、あえてうなずくだけ」という「甘え」があったと気づかされました。友達の言葉をきっかけに、下手な英語を使っても一生懸命会話していき、その姿を周りの友達も褒めてくれました。
挑戦して失うものはない
留学で広い世界を経験して、それまでの生活が学校中心だったことに気付き、帰国後はたくさんの課外活動をしました。もちろん、どれをする前にも「やっぱりやめようかな」と思ったり、緊張して課外活動のこと以外考えられなかったりします。しかし一度不安を克服すると、自分自身を信じられます。
課外活動によってやりたいこと、やるべきことが見えてきました。校則ごときにムキになってるのがばかばかしいと感じ、校則で縛られる生活と折り合いがつきました。
挑戦することで何かを失うことはありません。少しでもいいから、自分の知らない世界に足を踏み入れると、新しい自分に出会えると思います。