単語、文法、長文……英語の学習量は多く、参考書を「どうやって選べばいいか分からない!」と迷う高校生も多いはず。参考書に詳しい塾講師の綿引和巳さんにおすすめの英文法の参考書を聞いた。(木和田志乃)
共テから文法問題が少なく
―英文法の参考書の特徴を教えてください。
センター試験から大学入学共通テストに変わって、文法問題のウエートが低くなりました。私立大学でも同様の傾向があり、最近は論理的に覚えて暗記量を減らす工夫をしている教材が増えてきました。
【苦手な人】スタサプ講師の参考書がおすすめ
―英語が苦手な人におすすめの参考書を教えてください。
オンライン学習サービス「スタディサプリ」の人気講師陣が精力的に参考書を執筆し、高校生たちからも支持されています。その一つが『大学入試 肘井学のゼロから英文法が面白いほどわかる本』(KADOKAWA)です。この本は左ページにポイント解説、右ページに練習問題という構成。必ず例文が三つ程度用意され、例文中に難しい単語がほとんどなく、文法事項の説明が簡潔なので英文法の入門書としておすすめです。章末にチェックテストもついているので、内容を理解できているか確認できます。
さらに音声付きの例文集があり、日本語を隠して和訳、英語を隠して英訳の練習ができるようになっています。英語を書いてみると三人称単数現在のsを忘れていたり、助動詞の後ろの動詞が原型になっていなかったりと、いい加減になっていたことを見つけられるところがいいと思います。
【得意な人】「ポラリス」で志望校対策
―では、得意な人におすすめの参考書は?
『大学入試問題集 関正生の英文法ポラリス[1 標準レベル]』(KADOKAWA)は英文法への理解を深めることに重点が置かれ、問題量が少なくなっています。品詞の説明を多くすることで、無理に暗記しなくてもすむようにしていますね。英文解釈に必要な主語、述語、動詞といった「要素に分ける考え方」の前提となる知識を教えるなど、読解力につながる力を身に付けることを重視しています。問題は志望校別に載っているので、まずは自分の志望校のワンランク下から始めるのがおすすめです。
『真・英文法大全』(KADOKAWA)も同じく関先生が書いています。英文法には例外がいくつもありますが、例外にあえて触れないようにして、原則をしっかり理解できる構成です。「ですます」調の親しみやすい文体と、カラーのイラストや図が理解の助けになります。例文も広い場面で使えて難しすぎないものが選ばれていて、本当にわかりやすくて感動するほどです。
綿引和巳さん
わたひき・かずみ Seras学院学院長。1987年生まれ。三重高校(三重)、京都大学理学部卒業。同大学院理学研究科生物科学専攻修士課程修了。通信系企業にて医療情報のシステム構築に従事した後、2019年高校生専門学習塾Seras学院(大阪府茨木市)開校。これまで高校生に1000冊以上の参考書を提案。