県代表として吹奏楽コンクール東関東大会に3年連続で出場するなど、数々の演奏会やコンクールで活躍している大成女子高校吹奏楽部。技術の向上だけではなく、演者と聴衆がともに楽しめる音楽を目指して毎日の練習に励んでいる。 (文・小野哲史、写真・高松英昭)

舞台の前に出て歌い、AKB 48 やKARAのダンスを踊る。大成女子高校吹奏楽部の演奏会には、単なる吹奏楽とは違った、誰もが楽しめ、元気になれる雰囲気があふれている。このスタイルが始まったのは、船山貴司先生が顧問となった8年ほど前からだ。「お茶の間でテレビを見る感覚で、音楽を楽しんでもらえるステージ作りを意識している」と船山先生。

部員は2、3年生だけで55 人。神谷みほのさん(2年)は「みんな元気で先輩も優しい」。とはいえ、大所帯だけに難しい面もある。「一人一人の考え方も違うし、目指す方向性がずれてしまうこともある。それをまとめるのは簡単ではない」と部長の仲田美幸さん(3年)。平日は放課後の2~3時間、土日も朝から夕方まで、部員全員で目指す音楽を作っている。

昨年3月11日に発生した東日本大震災では、その2日後に定期演奏会を控えていた。震災直後は自宅待機を余儀なくされ、部員は約1カ月間、楽器を使うこともできず、演奏会は7月まで延期された。今年の定期演奏会は震災後ちょうど1年となる3月11日。会場のひたちなか市文化会館には1200 人を超す観客が来場し、大盛況となった。

演奏会では『絆』をテーマに掲げた。「お客さんに笑顔になってもらいたかったので、私たち自身も笑顔で演奏することを心掛けた」(関杜和子さん・3年)。渡部彩瑛さん(2年)は「合唱では涙を流しながら聴いてくださっている方もいて、自分たちの音楽で何かを感じてもらえたことがうれしかった」と振り返る。

部のモットーは「心から心へ」。音楽でこれからも人々に元気を届け続ける。