宮崎良介さん(東京・武蔵村山高校3年)の「不可視の心」を紹介します。ボトルの中に男子高校生が閉じ込められた様子を撮影したこの作品は、第47回全国高校総合文化祭(2023かごしま総文)の写真部門に出品されました。どのように撮影したのか聞きました。 

不可視の心(第47回全国高等学校総合文化祭 写真部門出品)

心に秘めた悩みや苦しみを表現

―作品に込めた思いを教えてください。

一見笑顔でいる男の子の、心の内側に秘められた複雑な感情や苦しみを表現しています。ボトルの中で水が暴れまわり、男の子が苦しそうにもがいている姿を写しました。

幸せそうに見えても、人は誰でも心の奥底には悩みや苦しみを抱えている。そんな現実を、写真を通して表せたらと思いました。この写真を通じて、人の心には他人には見えない葛藤や苦しみが存在することに気付いてほしいですし、人と接するときには、相手への理解や思いやりをもってほしいと伝えたいです。

「ボトルに入る姿」に試行錯誤

―こだわったり工夫したりしたポイントは?

男の子の苦しんだポーズを撮り、その写真を切り取ってボトルに貼り、ボトルの中にいるように見える工夫を凝らしました。写真を撮るときのライトの位置や人とボトルの配置などをいろいろ変えながら、全てに光が当たる配置で、人の顔に影ができるようにこだわりました。

作品と並ぶ宮崎さん

―どんなところが難しかったですか?

うまく撮れるライトの位置などを探したり、人とボトルの位置を決めたりしたことです。ボトルにそのまま写真を入れてみたり、ボトルの後ろに写真を置いてみたり……。どのようにして男の子がボトルの中に入っているように見せるか試行錯誤し、最終的にボトルに写真を貼ることにしました。

無心でシャッターを切った

―撮影中の印象的なエピソードはありますか?

ボトルに貼るための写真を撮るときに友達がいろいろなポーズや表情をしてくれて面白かったです。写真を切り取るときは違和感のないように切らなければいけないので、何度も失敗しました。

いろいろ迷っていた中、偶然休憩中に撮った写真の構図が良く、それをもとに最終的な構図を決めることができました。あれこれ考えず無心で切ったシャッターがヒントにつながったことに感動しました。

―よい作品を作るためのコツを教えてください。

どのような写真を撮りたいかをできるだけ具体的に想像することが大切です。画角や光の向きなどを調節してみるとよいと思います。