「毎日グラウンドに来るのが楽しい、サッカーがしたいと心から思える選手を育てよう」。自由で創造的なサッカーは、越智健一郎監督(38)の指導で生まれた。

日々の練習は、ラテン音楽に合わせた約30分のフィットネスダンス「ズンバ」で始まる。踊ることで関節をストレッチし、けがを予防するのが狙い。リズム感を養う効果も期待できるという。キャプテンの加島優女(2年)=京都・京都精華女中出身=は「けがは減ったと思います。リズム感が良くなったかどうかは分かりませんが、とにかくズンバは楽しい」と話す。ウオーミングアップから楽しんでしまおうという考えだ。

また、練習時間の多くをリフティングに費やし、技術を磨く。前キャプテンの林萌々(3年)=同中出身=は「ボールコントロールが身に付いたことで、試合中に焦る場面も少なくなりました」と、その効果を語る。

越智監督は、選手が望むポジションを優先し、スタメンの発表は試合30分前に行うなど、選手のモチベーションを保たせながら〝サッカー好き〞を育てるユニークな取り組みを実践する。

広くない土のグラウンドで、ズンバを除けば練習時間は約1時間。環境に恵まれているとは言い難いが、練習や試合前には、ポジティブにサッカーができる仕掛けが満載である。全国の舞台で披露した、クリエイティブなサッカーは、〝好きこそ物の上手なれ〟を実践する練習のたまものだ。

【TEAM DATA】
2002年に中等部にサッカー部が誕生し、高等部には06年に創部。部員30人。3大会ぶり2度目の出場となった今年の全日本高校女子選手権では、1回戦で久喜(埼玉)を5-1、2回戦で常葉学園橘(静岡)を2-1、準々決勝で大商学園(大阪)を1-0で破って3位に輝いた。