藤山慶人さん(東京・佼成学園高校3年)は、中学1年のころからザリガニ研究に没頭している。昨年、「高校生国際シンポジウム」(Glocal Academy主催)で文部科学大臣賞を受賞。身近な生き物の謎に魅了されたという藤山さんに、試行錯誤の過程で身についた力は何か聞いた。(写真・学校提供)

ザリガニの胃にある石に注目

―研究のテーマを教えてください。

カルシウムがザリガニに与える影響について研究を行っています。ザリガニは脱皮する際にカルシウムを一時的に胃石として貯蔵し、脱皮後、そこからカルシウムを溶け出させて新しい外骨格の形成に利用します。

「ザリガニにカルシウムを多く与えたら胃石は大きくなるのではないか」という仮説のもと研究をスタートさせました。

藤山慶人さん

―研究の進め方や、研究の結果分かったことを教えてください。

カルシウムを多く与えたザリガニの個体群よりも、その他の個体群の胃石の大きさは小さく重さも小さい結果が得られました。

さらに研究を進めるとザリガニはカルシウムに寄っている傾向がありました。現在は水中のカルシウム濃度がザリガニの脱皮頻度に影響しているのではないかと考えながら研究を進めています。

ザリガニの胃石
 

「血が青い」幼稚園時代に知り興味湧き

―ザリガニをテーマにしたきっかけは?

ザリガニに昔から興味はありました。幼稚園生のときにザリガニの血は青いと知り、中学1年時に探究の授業があるということで、ザリガニの血を探究しようと思ったのがきっかけです。

研究を進めているザリガニ

採血するためにザリガニを解剖すると、白い石のようなものが出てきて、その石について調べると胃石だとが分かりました。その胃石との出会いが、今の研究テーマにもなりました。

トイレで実験装置のアイデアひらめき

―研究手法を思いついたのがトイレに行こうとしているときだったそうですね。

「実験装置はどういう形にすればいいんだろう」と考えながらトイレに行った際に思いついたんです。左右に小便器があるにも関わらず、ある人は右の小便器へ、ある人は左へ行っていたのを見て、ひらめきました。

―常にザリガニに思いを馳せている藤山さんの姿が目に浮かぶようです。ザリガニの魅力はどう考えていますか?

ザリガニ釣りなどをしたことがある人も多いと思うのですが、そんなごく身近な生き物なのに意外と知られていないことがあるという点です。

「なぜ?」を考える癖がついた

―研究を進める中で苦労したことと、それを乗り越えた方法は?

実験を行うたびに苦労しています。なかなか私が行っている実験と近い先行研究が見つけられず、いつも試行錯誤しながら行っています。

探究や研究を行っている人は皆そうだと思うのですが、一発で実験がうまくいくことは、あまりないです。なので、とにかく試行錯誤します。頭の中でずっと考えていても進まないため、とりあえずやってみることが壁を乗り越える方法だと思っています。

―研究を通してご自身の変化を感じますか?

研究をする前は、頭を使って物事を深く考えたりすることがあまり得意ではありませんでした。しかし、研究をしていくうちに「なぜこうなるんだろう」と思うことが多くなり、物事について深く考えることが増えたと思います。また、研究を通じて大会で発表することが多くなり、昔は人前で発表することは苦手だったのですが、楽しいと思えるようになりました。

高校生国際シンポジウムで発表をする藤山慶人さん

―今後、研究をどのように進めていきたいですか?

今後はザリガニの「内部」で起きていることを調べたいと考えています。例えば、ザリガニは小触角と呼ばれる触角で化学物質を受容することが知られているのですが、どのようにして化学物質をキャッチしているのかなどを研究したいと考えています。