高校生がバイヤーとなって商品を発掘・販売する「高校生百貨店」。高校生記者の小谷凪紗さん(3年)は、大阪チームのメンバーとして参加している。3月には、東北の高校生と協力して、大阪で「東北物産展」を開催。活動内容や学んだことを紹介してもらった。

高校生が地元の名産品を販売

―「高校生百貨店」とはどんな活動?

「『遠く』を『近く』にするお店」をコンセプトに、高校生が地域の魅力を伝える活動です。高校生がバイヤーとなって地元の魅力的な商品を発掘し、生産者へインタビューを行い、商品に込めた思いをうかがいます。そして商品を私たちが販売することで、生産者の思いをお客さんに届けます。大阪・東北・沖縄・京都の4チームに分かれています。

ミーティングで意見を出し合った(本人提供)

活動は「かぎかっこPROJECT」「Co.to.hana」というNPO法人が運営しています。メンバー同士は定期的にミーティングを行い、マーケティングや広報などについて話し合いをしています。

私は高校2年のころから、15人いる大阪チームに所属。月に数回、大阪の各地にある百貨店内に設営したブースやショッピングモール、公園でのイベント、福祉施設、ラグビー場などで販売しています。

―活動に参加したきっかけは?

「学校外でたくさんの人と交流したい」「私の地元である大阪のことをもっと知りたい」「多くの人にその良さを発信したい」と思ったことがきっかけです。

東北の高校生百貨店メンバーとオンラインでの交流(NPO法人Co.to.hana提供)

商品に込められた思いを客に伝える

―今年3月1日から7日間、大阪のあべのハルカス近鉄本店で東北物産展を行ったそうですね。どんな準備をしましたか?

半年ほど前から東北メンバーが商品選定やインタビューを行い、1月に大阪メンバーとオンラインで交流し商品の魅力の説明を受けました。どの商品にも「地域を元気にしたい!」「商品を通じて人との輪を広げていきたい!」という生産者さんの愛情が込められていて、その思いが商品に表れているように感じました。その後、お店の方の人柄や温かさ、商品に込められた思いをどうお客さんに伝えていくのか、大阪のメンバーで話し合いました。

販売した商品の一部

物産展に向けて、近鉄百貨店の従業員の方に接客マナーを教えてもらいました。販売したのは、酸っぱさによってレベル分けされている岩手県の「リンゴジュース」や、福島県の郷土料理である「こづゆ」がお湯を注ぐだけで食べられる「カップこづゆ」、宮城県石巻市の特産である「きび」を使った「きびかりんとう」、東北の高校生が企業さんと商品開発した「醤油ブッセ」などです。食べ物から飲み物、缶詰やおかしまで計42品を販売しました。

実際の販売会。前列の右から2番目が小谷さん(NPO法人Co.to.hana提供)

お客さんに商品説明する際に、どんな方が作っている商品なのかもお話ししました。東北出身のお客さんが、私たちが販売した商品を昔よく食べていた思い出を話してくれて……「商品がその人の人生の記憶に残っていること」がすごく印象的でした。

―準備や当日で苦労したことは?

時間帯によっては、なかなか商品が売れない時があったことです。試食を出したり、特に売りたい商品のポップを追加で用意したり……。目の前を通って行かれる方に少しでも足を止めてもらえる方法を考えて、少しずつ改善。商品を手に取ってくださる方を増やせました。

販売会の様子(NPO法人Co.to.hana提供)

―当日の売れ行きや結果は?

初めは平日だったこともあり客足は少なめでしたが、SNSでの宣伝や、テレビ、新聞などのメディアを見たお客さんがたくさん来てくれました。

作成したポップ(本人提供)

土日には東北チームの高校生4人が大阪に来てくれて、一緒に販売しました。最終的には完売した商品もいくつかあり、うれしさと達成感がありました。

大阪の企業と商品開発を計画中

―高校生百貨店に参加して学んだことや、今後につなげたいことは?

東北の高校生と交流を深めたことで、私が知らなかった東北の魅力が分かりました。逆に、今まで気づかなかった自分の地元の魅力にも気づけました。

東大阪の町工場が作ったリヤカー(本人提供)

大阪チームとしては、今後、東大阪の町工場が作ったリヤカーでの販売会や、大阪の企業と協力して商品開発をする計画があります。

2025年の大阪・関西万博開催に向けて、大阪や日本の魅力を世界中の人にもっと伝えられたらと思います。もし活動に興味のある方や、販売依頼などがあれば、高校生百貨店のSNSなどに連絡してくれるとうれしいです!