ダーツを打ち込む髙坂亮(1年)。練習内容や休憩の取り方は部員それぞれが決める

高校の部活としては全国でも珍しいダーツ部がある高輪(東京)。部員たちは和気あいあいとした雰囲気を大切にしながらも、それぞれの課題を克服するため日々練習に励んでいる。(文・写真 青木美帆)

十数秒に集中「どっと疲れ」

直径約34センチのボードに設けられた円形の的には、得点エリアが82カ所。その1カ所を狙って273センチの距離から鉄製のダーツを投げる。緻密な戦略と正確な技術、そして何よりも高い集中力が求められる競技だ。副部長の室井佑太(2年)は「ダーツを構えてから投げ終わるまでの十数秒間すごく集中するので、どっと疲れます」と話す。

部としての練習は週2回。「立ち位置はどこがベストなのか」「うまくいかなくてイライラしたとき、どうやって立て直すか」「思うように投げられない時期をどう乗り越えるか」。練習後のミーティングで部員たちは、自身の課題とそれにどう向き合ったかを明確に口に出していた。部活がない日も、ボードを自宅に設置し、部員によっては2時間に及ぶ自主練習に励んでいる。

不調の波を乗り越え

「ダーツはたくさん投げれば投げるほど上達するものではない」と顧問の渡辺高志先生は言う。野球やゴルフの選手がよく陥るといわれる「イップス」(精神的な原因などで、思うように体を動かせなくなる運動障害)になる選手も多く、不調の波に翻弄(ほんろう)されることもしばしば。室井は「悪い流れになったときに、いかに点数を取り返したり良い投げ方にしたりするかが難しいところ」と説明する。部長の山川亮(2年)は「逆に、思うように投げられた時は本当に気持ちいい。それを味わいたくてダーツを続けています」と話した。

 

【TEAM DATA】
2006年に同好会としてスタートし、09年に部に昇格。部員11人(2年生4人、1年生6人、併設の中学2年生1人。3年生は引退)。モットーは「昨日の自分を超える努力をする」。