世界を目指す名門
30メートル×20メートルのプールで1チーム7人の選手がゴールを争う水球。秀明英光(埼玉)は4度のインターハイ優勝を誇る名門チームだ。全国制覇はもちろんのこと、国際大会で活躍する選手の育成をモットーに掲げ、リオデジャネイロ五輪には3人の卒業生を送り込んだ。全国から志の高い選手が集まる中、大学生主体の世界ジュニア選手権日本代表に選出された鈴木透生(3年)も「日本代表に入る目標をかなえるには、ここしかない」と、山形から門をたたいた。
チームは昨年、インターハイ決勝で金沢工(石川)と対戦し、1点差で敗れた。主将の青
山直輝(3年)は「決めなければならないシュートを外してしまった」と振り返り、鈴木「相手のパワーに対して、得意のカウンター攻撃で勝負できなかった」と続ける。主力が県選抜として出場した9月の国体決勝でも、金沢工主体の石川選抜に再び1点差の敗北を喫している。
練習が結実しリベンジ
今年度は「絶対に頂点を取る」(青山)という強い気持ちで、さまざまな強化に励んだ。伝統の「電光石火」の攻撃を高めるため、フットワークには特に力を入れた。5㌔の重りを体につけて水中に入り、何十種類もの独自のメニューで水球特有の足さばきを磨く。「最後の方は疲れて沈みそうになります」と鈴木は笑う。
団結力を養うために、選手ミーティングも実施するようになった。毎朝、前日の練習を受けての課題を全員で確認しつつ、一人一人が時事的な話題を絡めながら、その日の目標を発表。これらの取り組みが実を結び、3月の全日本ジュニア(U17)選手権ではついに金沢工を破って日本一に輝いた。「大きな自信になりました」と、青山はうなずく。
グランドスラム目指す
高校水球界では全日本ジュニア、インターハイ、国体の3大タイトルを制することを「グランドスラム」という。鈴木は「グランドスラムをするためにも、インターハイは大差をつけて敵なしで優勝したい」と、意気揚々と先を見据える。インターハイの優勝回数を意味する4つの星が刻印された水着に、この夏、新しい星が加わる。 (文・写真 青木美帆)
TEAM DATA
秀明英光男子水球部 1985年創部。部員20人(3年生11人、2年生6人、1年生3人)。校訓の「知・技・心」を礎とし「水で野獣、陸で紳士」がモットー。浜田卓監督だけでなく、山本竣太教諭、吉里優香教諭、リオ五輪代表の大川慶悟も指導を行い、加藤英雄・秀明学園水球部総監督(秀明大教授・女子日本代表監督)がけん引する。