8月に文化部の全国大会、第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)の日本音楽部門が行われた。関西創価高校(大阪)箏曲部が、最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞した。同部は21年連続で全国大会出場を続けており、今回初めて日本一に輝いた。8月末の優秀校公演でも演奏した。(中田宗孝)

川の流れを音色で表現

部が大会で演奏した曲「大河」は、急流やせせらぎ、大きな川の流れを箏(こと)の音色で繊細に表現する楽曲だ。部長の直井萌香さん(2年)は、「激しい流れから穏やかな水流へと変化していく箇所が演奏していて楽しい」と魅力を話す。

国立劇場で日本一の音色を奏でた(8月26日、優秀校東京公演リハーサル。椎木里咲撮影)

一方、「奏者の気持ちが良くも悪くもしっかり音に表れる曲でもあります。集中力を欠いたまま演奏すると、ガサガサした音になってしまいます」(前部長の松本優心さん3年)

3年生部員が話し合い、この曲に決めた。3年生にとって「1年生のときに先輩からたくさん教えてもらった思い出深い一曲」だという。「この難曲に再挑戦し、私たちの成長した姿を先輩方に見ていただきたいと思ったんです」(松本さん)

イメージを話し合い完成度高めた

「大河」で第一箏を担った松本さん(左)と、第二箏の直井さん

部員たちは、楽曲のイメージを共有して、完成度を高めていった。「『桜の花びらが舞う優しい雰囲気』や『川辺をホタルが飛んでいる』といった曲想が部員から挙がってきました」(直井さん)

どの部員も積極的に意見を出せるよう、各学年が入る少人数のグループごとのミーティングを重ねた後、パート長を中心に楽曲のイメージをまとめていった。 

初の日本一「恩返しができた」

8月の全国大会では、最高の賞となる最優秀賞・文部科学大臣賞を初受賞。日本一に輝き、先輩や友人、先生など多くの祝福のメッセージが寄せられたという。

全国大会は出場人数の制限があったが、優秀校東京公演では全部員で演奏を届けた(8月26日、優秀校東京公演リハーサル)

松本さんは「私たちは、たくさんの方々に支えられて活動できているんです。今回の受賞で、支えてくれたみなさんへ恩返しできました」と、感謝と喜びを語った。

【部活データ】

2002年創部。部員34人(3年生11人、2年生11人、1年生12人)。週5~6日活動。全国高校総合文化祭の日本音楽部門では、優秀賞(文化庁長官賞)と優良賞あわせて16回受賞。優秀校東京公演へは、今回で11回目の出場。