星野高校(埼玉)筝曲部は、高校文化部の全国大会「全国高校総合文化祭」の日本音楽部門に38回目の全国出場を果たし、日本一になった。箏に全力をかける部員たちに話を聞いた。(文・写真 中田宗孝)

川辺に舞う桜を思い描き

星野高校筝曲部(8月、国立劇場で行われた東京公演リハーサル)

今年の全国大会は、3年ぶり6度目の最優秀賞(文部科学大臣賞)に輝いた。3つの楽章から成る演奏曲「風景」を奏でた。部長の古寺優里さん(3年)は「この曲の特徴は、楽章ごとに雰囲気が大きく変わります」と、説明する。副部長の北原瞳さん(3年)は、情感豊かな音色に込めた思いについて「移りゆく季節、お祭りの賑わいなどを表しています」と話した。

古寺さん(左)と北原さん(8月、国立劇場で行われた東京公演リハーサル)

練習では、演奏面の向上と同じ熱量で、「部員の気持ちを一つにするための話し合い」を何度も重ねているという。「『風景』の曲想(楽曲の構想やテーマのこと)のイメージが統一されるように意思疎通を図りました。部員が心に描く情景を一つにできれば、曲の表現力に磨きがかかります」(古寺さん)

心一つに演奏した(8月、国立劇場で行われた東京公演リハーサル)

例えば「風景」第1楽章の始まりは「昼間の川辺に舞う桜」を思い浮かべた。曲のテンポの変化に合わせて季節は夏へと移り、四季を一気に駆け巡る。そして、再び同じメロディに戻ると夜桜を描く……。3楽章ぶんの部員共通のイメージを浮かべ、全国大会の演奏に臨んだ。「本番ではみんなと一つになり、素晴らしい音の景色が広がりました」(古寺さん)