狛江高校(東京)筝曲部は、第47回全国高校総合文化祭(2023かごしま総文)の日本音楽部門でベスト4となる文化庁長官賞を受賞した。ぴったりと息の合った演奏は、どのように作り上げられたのか聞いた。(文・椎木里咲)

演奏のイメージを共有し練習

部が披露した「二つの群のために」は、弦の数が13本の「十三絃(じゅうさんげん)」と、弦の数が17本の「十七絃筝(じゅうしちげんそう)」のソロパートを中心として展開される曲だ。小田切唯さん(3年)は「私たちの売りは『音量』と『一体感』。十七絃筝の低音から響く音と、十三絃筝の高音から来る音圧を感じてほしい」と聴きどころを語った。

優秀校東京公演でも息の合った演奏を披露した(主催者提供)

演奏にあたり大切にしたのが、部員がイメージを共有することだ。部活が終わると学年ごとにまとまり、「一章と三章はパキッとしたイメージだから、二章は柔らかく、しなりのあるような演奏にしたい」などと話し合いを重ね、演奏を作り上げていった。

演奏録音して音色磨き上げ

2023かごしま総文・日本音楽の部では、同曲を披露しベスト4となる文化庁長官賞を受賞。部長の石塚日和さん(3年)は「今まで演奏した曲に比べても、特に難しかった」と振り返る。「3年生としてトップに立って演奏するので、『下級生を引っ張っていかなきゃ』という思いもありました。まずは自分が完璧に弾きこなそうと思って、毎日家や学校で3時間くらい個人練習を重ねて」(石塚さん)

小田切さん(左)と石塚さん(撮影・椎木里咲)

ソロパートを担当した小田切さんは、自分の演奏を録音し、学校から帰る電車の中で聞き込んだ。「録音を聞いて『ここがだめだったな』というところを確認して、次の合奏で改善していって……弾けていないところをどんどんつぶしていきました」(小田切さん)

学年を超えた温かい雰囲気

石塚さんが部長として心掛けたのは「判断を早くする」こと。「前部長の先輩から、『上に立つ人が迷っていると、部員たちが不安になる』とアドバイスをもらったんです。なるべく判断に時間をかけずにパッと部員を導こう、と心掛けていました」(石塚さん)

普段は学年を超えて温かい雰囲気で、「特に今年入ってきた1年生が明るい子が多くて、部全体を盛り上げてくれます」(石塚さん)。

狛江高校筝曲部

1979年創部。部員15人(3年生7人、2年生3人、1年生5人)。これまでに全国高校総合文化祭に24回出場。優秀校東京公演は今回で6回目の出場。