文部科学省が民間企業と協力して高校生・大学生の留学を支援する「トビタテ!留学JAPAN」が2023年から大幅にリニューアルする。高校生の留学支援により力を入れ、23年は約700人に返済不要の奨学金を支給することを計画している。高校生に深めたいテーマを決めて渡航先や活動内容を決めて応募してもらう。募集要項は10月12日に公表された。在校生の応募は23年2月に、新1年生の応募は4月に受け付ける。

「高校生のうちに留学」を重視

「トビタテ」は13年に始まり、企業などからの寄附約123億円をもとに、大学生・高校生の留学を支援してきた。15年から始まった高校生向けの支援では、約3400人が奨学金プログラムに採用された。

事務局によると、新たな奨学金の取り組み「新・日本代表プログラム」では、23年から27年まで、高校生、大学生約5000人に奨学金を支給する計画だ。23年は高校生700人、大学生250人に支給する予定。

「高校生のうちに短期間でも一度留学すると、(大学進学後などに)将来のキャリアにつながる専門的な留学に発展させやすくなる」と事務局の西川朋子さんは高校生を重視する狙いを話す。

トビタテ!留学JAPAN高校生コースの奨学生に採用され、今年カナダに留学した小長谷真那さん。留学先で出会った多国籍の友人たちと(事務局提供)

14日以上最長1年の「探究型留学」

23年に留学を希望する高校生向けの募集要項はトビタテの公式サイトに掲載されている。現高校1・2年生の応募は在籍校を通じて2月に受け付ける。新高校1年生は別に4月に受け付ける。23年7月10日から24年3月までに開始する留学が対象で、留学期間は14日以上、最長1年までを想定している。

採用されると、留学準備金(アジアは15万円、他地域は25万円)と、月額奨学金(地域により12万円または16万円。家計基準がある)が支給される。

高校生は自分の興味を深めるテーマを決めて留学する「マイ探究」、社会課題の解決をテーマにする「社会探究」と「スポーツ・芸術」の3分野で募集する。文科省が、生徒が自ら課題を見つけて解決策を探る探究学習を推進していることを受けて、「探究型留学」をしてもらう計画だ。

コロナ禍で下がった留学の機運を上げたい

政府は年間6万人の高校生に留学してもらうことを目標にしてきた。2017年度の約4万7000人が最多だが、コロナ禍に入った20年度以降は大幅に落ち込んだ。現在、19年度と21年度の留学者数を調査している。

トビタテ事務局では「コロナ禍で下がった留学の機運をなるべく早く上昇させたい」(西川さん)と話している。奨学金支給のほか、都道府県ごとに留学支援プログラムを始めるための支援や、自校の国際交流を強化したい先生向けのネットワーク作りなども強化する。