第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)の将棋部門・女子個人戦が8月3、4日に行われ、全国から85人がエントリー。昨年準優勝だった中澤秀佳さん(神奈川・清泉女学院高校2年)が全国優勝を勝ち取った。

プライベートの時間は「全て将棋」

「高校生活で出場する大会は今回で最後」。並々ならぬ決意を胸に「女子個人戦」で全国優勝を果たしたのが、中澤秀佳さん(2年)だ。

中学時代から全国クラスの実力者として知られる中澤さん

大会が近くなると、プライベートの時間はすべて将棋に費やした。プロの棋士の対局を自らの手で再現する「棋譜並べ」、将棋の「定跡書(戦法、最善手などを記した本)」を熟読し、将棋ソフトを使って研究を重ねた。「特に序盤で絶対に崩れないように対策してきました。たくさん練習すれば不安が払拭(ふっしょく)されるし、自信にもつながる」

盤上を見つめ、短時間の中で次の手を探る

相手の急所探って

決勝トーナメントの持ち時間は15分、時間を使い切ると1手30秒未満の秒読みで指していく。中澤さんは、昨年は準優勝だった。「今年は優勝する!」と誓って今大会に臨んだ。

決勝戦の対局

國學院高校(東京)の選手との決勝戦は、「相振り飛車(2人の対局者が互いに飛車を左側に動かす戦法・戦型のこと)」の展開となった。「思っていたのとは違う試合運びになりましたが、相手の急所を探して、どこを攻めたらいいか考えました」

将来は小児科医目指して

高校最後と決めた大会で有終の美を飾った。「小学生のときから全国高校将棋選手権大会(とうきょう総文2022 将棋部門)での優勝が目標だったんです」と、晴れやかな表情をみせた。残りの高校生活は受験勉強に専念し、現時点では進学後も選手としての活動を行わない意向だ。

出場選手は顔なじみも多いという。閉会後、「遠方の将棋仲間と久しぶりに会えてうれしい」と素顔をのぞかせた

「小児科医を目指しています。大学でも勉強を頑張りたい」。これから中澤さんは、夢に向かって駒を進めていく。