「全校のみんながコロナ禍でも楽しめる行事を作りたい!」。そんな強い思いで、私は生徒会本部の仲間と「オンライン文化祭」を企画しました。ところが、配信のための撮影期間に入ると、思わぬ展開に……。挫折から「人と関わっていく上で、大切なこと」を学びました。(高校生記者・ツムギ=2年)

オンライン文化祭のルール作りに苦戦

「オンライン文化祭」は、生徒会本部にとって初めての大きな試みで、そううまくは進みませんでした。壁にぶつかったのは「ルール作り」の時です。

普段の学校では、SNSトラブル防止のために校内撮影は禁止されています。文化祭では撮影内容を確認した上で、許可証を身につけての撮影を許可することになりました。電気製品使用の際は、事前に申請してもらい、校舎のブレーカーダウンを防ぐなど、普段の校則にプラスして、文化祭のためのルールを設けました。

生徒会本部で「オンライン文化祭」を運営した(写真はイメージ)

今までの文化祭とはまるで違う、オンラインという形だったので、どんな問題が起こりうるのか、全て予想でルールを作らなければなりませんでした。不安になりましたし、仲間同士での意見の食い違いも、ギリギリまでたくさんありました。

ルール無視続出「うざいんだけど!」と言われ

迎えた撮影期間。トラブルを未然に防ぐために行った「校内巡回」では、校則も文化祭のルールも無視の人が大勢見受けられました。巡回担当だった私は、そんな人たちへの声かけやルール確認を行いました。

すると日を追うごとに、本部に向けられる目が変わっていったのです。巡回中には「うざいんだけど!」とすれ違う際に言われたり、なかには「しね」と言われたという仲間もいました。

「みんなが楽しんでくれるように」という思いで準備してきたはずなのに、学校中の人に嫌われているんじゃないか……。正直、学校に行くことが怖くなりました。それは仲間も同じでした。

どうすれば伝わるか?生徒会仲間で結束生まれた

反省会を行った際には、自分達の改善点もたくさん見つかりました。「声かけの仕方がきつかったのかもしれない」「みんなにちゃんとルールを知ってもらうために、もっと工夫できたのでは?」「文化祭が生徒会主催ということが周知されておらず、生徒会がどうして巡回しているのかと思われていたのかも」などという意見が出ました。

「来年はしっかり改善し、さらに良いものができるようにしよう」と、同じ挫折を通して結束力も生まれました。

試行錯誤しながら一から作ったものが、形となりました。不満の声もありましたが、「ありがとう」と周りの人たちに言ってもらえたことがとてもうれしくて、頑張ってよかったなと思いました。それと同時に、「次はもっとたくさんの人に楽しんでもらえるように頑張ろう!」と、さらにやる気がでました。

試行錯誤を重ねて実現できた(写真はイメージ)

たった一言で人の気持ちは大きく変わる

この経験で私は、人と関わる上で大切なことをいくつか発見しました。

自分の努力が全て人に伝わることは難しく、過信しすぎてはいけない。だからこそ自分も、相手に対して思うことがあっても、見えないところで努力や苦労があるのかも……と考えてみることが大切だということ。

そして、良くも悪くも、たった一言で人の気持ちは大きく変化すること。巡回時に浴びた言葉で心は傷つきました。逆に、「ありがとう」と声をかけてくれた先生方や友達にとても救われたことも確かです。

言葉には本当に大きな力があり、言葉を発することには大きな責任があるとも思いました。「私は、周りの人をちょっとでも明るい気持ちにする言葉をかけることのできる人になりたい!」そんな思いを常に抱くようになりました。