近年、男性用化粧品を使ったメイク・スキンケア術を紹介する男性のYouTuberや芸能人が注目を集めている。男子高校生たちの美容への関心も、ひと昔前と比べると高まってきているという。東京・正則学園高校で12月、男性化粧品メーカー・マンダムによる「身だしなみセミナー」が行われ、1年生男子152人がレクチャーを受けた。(文・写真 中田宗孝)

「モテたい」けれど身だしなみに気を抜きがち

講師を務めたマンダム広報部の木村彩子さんは、身だしなみの清潔感には「肌と髪型を整えること」が大切と伝えた。

これに対して、セミナーに参加した生徒からは「スキンケアは気にはしていました。けれど実際は、洗顔だけで済ませていた」(石井成馬君)、「朝は時間がなく、面倒なヘアセットはまったくしていません。男子校というのもあります。共学に通っていれば気にしてたかも(苦笑)」という声が挙がった。

体育館で行われたセミナー。1年生152人が参加した

同校生徒への身だしなみのアンケート結果からも、忙しい学校生活からか「オシャレや身だしなみには気を抜きがち」という回答が多くみられた。一方で、身だしなみを整えて「カッコ良くなりたい!」「異性にモテたい!」といった本音も多かった。

髪のスタイリングで劇的ビフォーアフター

セミナーでは、「清潔感のある肌と髪の作り方」のために肌のケア方法や髪のスタイリング術を学んでいった。

持参した手鏡やスマフォで自分の髪型をチェックしながら、ワックスを使ってスタイリング

講師の木村さんは、スタイリングでは「おろしていた前髪を上げておでこを出すだけで見た目の印象は大きく変わります」と、スタイリングのポイントをアドバイス。

おでこ出しの髪型に挑戦した石井君

すると、生徒152人が一斉にワックスを使ってスタイリングに挑戦。普段まったくワックスを使わないという石井君は、苦戦しながらも、おでこ出しの新たな髪型に変身した。「明るい印象を持ってもらえるような髪型になったと思います。今後は、自分により似合う髪型を探していきたいです」

石井君のビフォーアフター。より爽やかなビジュアルに

ワックスで毛先にニュアンスをつけた山本君

山本君のビフォーアフター。前髪を上げただけで雰囲気がだいぶ変わることがよく分かる

山本大翔君はワックスで髪を立ち上げ、動きある毛先のニュアンスをつけた。「出掛けるときにワックスを使って髪型を変えたい。これからも、カッコいいジェントルマンを目指していきたいです」と、意欲をみせていた。

若い男性、スキンケアに関心の理由は?

近年「男性が美容を意識するようになった」と言われているが、その背景には何があるのだろうか。「清潔感」がキーワードの一つだと、木村さんは話す。

「身だしなみセミナー」の講師として登壇したマンダム広報部の木村さん。同社は、高校生や就職活動に臨む大学生を対象としたセミナーを開催してきた

「10年ほど前は『男性化粧品で思い浮かぶのは?』と聞かれた若い男性の答えはヘアスタイリング剤でした。それが今は、洗顔料や化粧水といったスキンケア商品と答えるんです。清潔感を意識する若い男性たちのスキンケアへの関心がすごく高まっているんです」

家庭環境の変化も、男性の美意識を高める要因の一つになったという。

「特に母親と息子の関係性がひと昔前と比べると変わってきていて、母親との距離感が近い若い男性が増えてきているように感じます。仲の良い母親からスキンケアを勧められて始めたという方も多いと思います」

実際、山本君は、セミナー以前から母親と相談してスキンケアに取り組んでいたという。「肌が弱かったので、洗顔料で顔を洗った後に化粧水を使って肌ケアをしていました。今使っている化粧水は、母が勧めてくれました」

マンダムが2018年に15歳から29歳の男女456人に実施したアンケート調査では、「清潔感は、異性を好きなるにうえでどの程度重要ですか?」との質問に対し、男女ともに9割以上が重要だと回答したという。