みなさんは「読書」と聞いてどのような感想を持ちますか? 大人が勧めてくるから渋々読む? 本を開いただけで眠くなる? 年間100冊以上の本を読んでいる、本が大好きな高校生の私が「普段本を読まない人にこそ読んでほしい本」を好きな教科ごとにセレクトしました。興味を持ったらぜひ読んでみてください。(高校生記者・あかり=1年)
【数学が好きな人へ】数学×ミステリー
『浜村渚の計算ノート』青柳碧人著(講談社、660円)
マイナスとマイナスをかけると、なぜプラスになるか、説明できますか?
主人公は数学が大好きな中学2年生の女の子、浜村渚。義務教育から数学が消えた世界で、政府に抵抗する「数学テロリスト」と戦うほのぼの数学ミステリーです。中学で習う範囲から数学史に残る有名な難問まで、幅広いテーマで話が進んでいきます。
作者は学習塾で働いていた経験があり、「数学なんか勉強して、一体なんの意味があるの?」と生徒に聞かれたことがきっかけで生まれたのがこの本です。
【英語が好きな人へ】超能力で事件を解決
『マチルダは小さな大天才』ロアルド・ダール著(評論社、1540円)
『チャーリーとチョコレート工場』を知っていますか?
この本は『チャーリーとチョコレート工場』と同じ作者が書いた世界的に有名な作品で、イギリスではミュージカルがロングラン公演されています。
主人公はイギリスの田舎に住む5歳の女の子、マチルダ。小学校入学を機に手に入れた超能力で事件を解決していきます。
話が小学校と家を中心に進み、児童書として出版されているので、平易な単語や文法で書かれています。この本はぜひ日本語で読んだら次は英語で読んでほしいです!
【現代社会が好きな人へ】人種差別やLGBTについて考える
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ著(新潮社、693円)
イギリスの優等生の「僕」が通う中学校は元・底辺校。人種差別やLGBTなどをテーマとして扱っています。社会の波にもまれながら成長する息子を母親目線で描く、ノンフィクションです。
教科書を読むだけではわからない現代の問題に触れられ、考えるきっかけになると思います。
【物理が好きな人へ】既成概念が崩れる体験を
『時間は存在しない』カルロ・ロヴェッリ著(NHK出版、2200円)
朝起きてから夜寝るまで、私たちの行動の全ては時間によって縛られていますよね。その時間が「存在しない」と言われたら?
「ホーキングの再来」と言われる天才物理学者が、「時間」の本質に迫る大ベストセラーです。ホーキングはイギリスの有名な物理学者で、宇宙や素粒子に関する研究で知られています。
私たちは「時間は一方通行に流れている」と考えがちです。時間についての既成概念を崩されて、たくさんのことを考えさせられます。かなり難しくはありますが、ぜひ一度挑戦してほしいです。
【国語が好きな人へ】ノーベル賞受賞の名著
『雪国』川端康成著(新潮社、396円)
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」という書き出しは、あまりにも有名ですよね。
日本人で初めてノーベル文学賞を受賞した作品です。受賞した理由は、「日本人の心の精髄を優れた感受性で表現する、その物語の巧みさ」。読みにくい文体ではありますが、繊細で美しい描写は、情景をありありと映し出してくれます。