高校生による漫才の頂点を決める「ハイスクールマンザイ2014~H-1甲子園~」(よしもとクリエイティブ・エージェンシー主催、高校生新聞など後援)決勝大会が9月21日、大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催された。全国523組の頂点に立ったのは、近畿地区代表の男女コンビ「いなかのくるま」だ。(土谷美樹)
笑いの聖地で爆笑誘う
優勝が決まった瞬間、ツッコミの木佐凌一朗君(大阪・咲くやこの花高校3年)は「うれしすぎて」吐き気を催すほどだった。
審査委員長のオール巨人さんが「新鮮だった」というネタは「スマートフォンの音声道案内が○○風だったら」という想定のコント風漫才。「昔の彼女風」「高校野球風」「オカン風」と3段階で展開し、大阪らしさと高校生らしさを盛り込み、満員の客席を爆笑の渦に巻き込んだ。
緊張の3分を終えても、ボケの太田千尋さん(同・大阪学芸高校3年)は「すっごい楽しかった」と満面の笑み。木佐君は「お笑いの聖地でここまで笑ってもらって感激。1秒でも長く、この空間にいたかった」と手応え抜群だった。
公園で猛練習
もともと、それぞれが別の相方とコンビを組みライブなどで活動。互いの存在は知っていた。高校3年を迎え、受験の壁にぶち当たると、2組とも解散。それでもこの大会を諦めきれなかった木佐君が、ライバルとして実力を認めていた太田さんを口説き落とし、6月にコンビを結成した。ネタは木佐君がほとんど構成し、持ちネタは7本になる。
2人の家の中間地点にある公園で週3日、1日4時間の猛練習を積んだ。陸上競技場や幹線道路が隣接し、常にランニングやウオーキングをする人が行き交う公園での練習は、声のトーンを上げ、滑舌を良くし、何よりも度胸をつけることに役立った。
決勝で披露したネタを練習したのは150回以上。「本番が一番うまくいきました。こんなにうまくいくんや……っていうぐらい」(太田さん)。優勝以上に「努力は裏切らない」ことを心底実感した瞬間だったに違いない。
会場を沸かせたその他のコンビ
大先輩に捧げるネタも
●北海道・東北地区代表 アンダーグランド
高橋康平君(北海道石狩翔陽高校2年)
安達祐登君(同・札幌工業高校2年)
決勝9組中、トップバッターで登場した「アンダーグランド」の高橋康平君(写真左)と安達祐登君は、小学校から大の親友という間柄。地元ではすでにライブ活動も行っており知られた存在だ。決勝の司会を務め、同郷の大先輩でもある「タカアンドトシ」の「欧米かっ!」をオマージュしたネタを披露するなど、堂々とした舞台を披露した。
存在感で笑いを誘う
●関東地区代表 ガールズガンダーラ
石川丞君(神奈川・藤沢翔陵高校2年)
竹内晃太郎君(同・横浜サイエンスフロンティア高校2年)
昨年、1年生ながら準決勝まで進むも敗退した「ガールズガンダーラ」。妙に落ち着いたボケ役の石川丞君(写真右)が登場するだけで笑いを誘うほど。ゲストだった、おのののかさんから「石川君のこと、一瞬でファンになりました」と〝ラブコール〟を送られ照れまくっていた。
変顔に一目ぼれして結成
●中四国地区代表 こまごめピペット
塩谷蓮(山口・柳井商工高校)
田中憲嗣(同・新南陽高校)
時代を象徴するようなコンビが「こまごめピペット」。コンビ結成のきっかけは田中憲嗣君(写真右)が無料通信アプリLINEに掲載した、自身の〝変顔〟に塩谷蓮君が一目ぼれして猛アタックしたことだった。結成したのはわずか3カ月前。家も遠く、ネタ合わせもままならなかったが「デートする彼女の顔に変なモノが付いていたら」という設定のコント風漫才で爆笑を買った。
連覇ならずも実力発揮
●中四国地区代表 テノールパート
出井元貴(岡山・岡山城東高校3年)
川西宏幸(同・岡山城東高校3年)
前回大会を制した「テノールパート」。大会初の連覇を狙ったが、あと一歩及ばなかった。「思春期の男の子と、その母親」という設定のコント風漫才で、落ち着いたネタ運びに審査員もうなる出来映え。「息子のいない間に部屋を掃除する」というテッパンの設定で会場の爆笑を誘った。審査員だった「千鳥」の大悟さんが「売れたら、一緒に番組やろう」と〝スカウト〟するほど。ツッコミの川西宏幸君(写真左)も「今日が一番気持ちよく漫才できた」と話したが悲願達成とはならなかった。