クラスや部活など、学校での集団生活において周りの様子をうかがうこと、つまり「空気を読むこと」は避けて通れない道なのでしょうか。今回は4人の高校生記者に、どのような場面で空気を読んでいるのかを話し合ってもらいました。

座談会に参加してくれた高校生記者

Aさん(3年)

空気を読む派。空気を読みすぎて空回りしてしまう。

Bさん(1年)

空気を読む派。いつも気疲れしてしまう……。

Cさん(2年)

空気を読まない派。中1から5年間クラス替えがない女子校に通っているため、自分をさらけ出しすぎてしまうことがある。

Dさん(3年)

空気を読む派だが、自分の意見を持つことを心がけている。

なぜ「みんな仲良く」を求められるのか

―具体的にどのような場面で空気を読むことが多いですか?

C 他のクラスの、しゃべったことのないような子と行事などで関わらないといけないときは大変です。

B わかります。どう会話の糸口をつかむか考えます。

仲良くない人と関わると気疲れしてしまう

D 先輩や目上の人の前では「空気を読むのが当たり前」というか。仲の良い先輩でも空気を読むことは多いです。

A ディスカッションのようなものがあると、特に大変ですよね。

C そうそう。行事や先生の企画などで、あまり仲良くない子とグループを組まされるときありますよね。

B なんであんなに「みんな仲良く」というのを、学校の先生は求めるんですかね? 特に小中学生の頃多かったように思います。

D  うーん、どうしてでしょう……。

B 確かに人は人と関わらないと生きられないとは思いますけど。

C 協調性を身につけるため、とかでしょうか。

D いろいろな子と仲良くしてほしいっていうのがあるんだと思います。小学校、中学校は特に。

B 年齢を重ねた方が楽だと思えることも非常に多いです。

A 割り切れますしね。

部活での「空気読まないと」感はすごい

―空気を読まないといけない友達と無理に一緒にいることはありますか?

B 付き合いはしなきゃいけないんで、ありますね……。

A 私はあまりないですね。付き合いを大事にするよりは、一人でいるほうが楽なんてこともあるので。

B かなり気疲れするので、一人でいる時間も作ります。確かに一人のほうが気は楽ですよね。

C 私はないです! 基本的に仲のいい友達とかとしか関わることがないので。

D なるほど。1人は楽なときもありますけど、付き合いも必要ですよね。

―部活などの場面ではどうでしたか?

D 部活のときは「空気を壊しちゃだめ」というか、「空気を読まないのはいけないこと」みたいな風潮がありました。

B それ、本当に困りますよね……。

A 部活などは私はむしろリーダーになって、自分がいやすい雰囲気を作っていました(笑)。部活自体が大好きだったので。

D なるほど! 私は部長だったのですが、みんなの顔色ばかり伺ってあまりいい雰囲気をつくれませんでした……。

A でも、私はむしろ空回りすることも多かったです……。特に最初の方はすべりまくりでむしろメンタルにきましたね(笑)

―空気を読む派のDさんは、どんな感じで部長をしてたんですか。

D 先生や先輩に怒られたらみんなが黙ってしまうので、「ここはこうするのでこうします!」って「空気を必ず変えなければならない立場だったなー」と今考えると思います。

A 顧問の先生とか大人が雰囲気をつくってしまうと難しそうですよね。私も部長でしたが、先生が干渉してこなかったのでそこはラッキーでした!

C 私も学級委員をした事があるのですが、よく「クラスでいじめはないかなど、周りを見て注意してあげて」みたいなこと言われました。それって結構大変なことですよね。

D メンタルにはきますよね。部長とか嫌われ役とかって、なんかみんなと違うから、変なふうに思われるというか。空気を読むとか読まないとかではなくて、「空気を変えようとしている人を良くない目で見ている人が多い」気がします。

「空気を読むこと」を強いる先生

B 空気をつくるのはおとなの仕事だと思いますね……。まだ子どもの私たちに求めるのは荷がおもすぎる。

C 新しく入った後輩だったり転校生でクラスの空気と違ったり、新しい風を吹かせるような子だと、少し浮いてしまうこともありますね。

空気読めない「浮いた子」がいたら

―空気が読めないと浮いてしまう子がいたとします。皆さんはどうしていましたか?

C こっそり先生に言いに行ったりしたことがあります!

B 僕もあります。

D 私はいじめられる側でした。中2のときは学校内でとても大きな問題になりました。でも、本当に見ていてひどいいじめだったので、周りのみんなが寄り添ってくれることが多かったです。

A 私は小学生から中学生くらいまで海外にいて、いじめが本当になかったので、日本に来てびっくりしました。

D いじめを目撃したときは私も先生に言いに行くようにしていました。

B でも周りも自分がいじめられるのが怖くて、あんまり何もしない人も多かったです。

C いじめられている人に寄り添ってくれる人がいるのは大切なことですね。

D 本当に助かりました。あのときは私から先生に言い出せなくて、友だちが先生に言ってくれて発覚したいじめだったので。「周りの助けがすごく大切だな」と思ったことを覚えています。

日本での「自己主張」は嫌われる?

―Aさんの通っていた海外の学校はどのような雰囲気だったのですか?

A フレンドリー、というか割り切っていましたね。インターナショナルスクールだったので、みんな違って当たり前、それがいい! みたいな感じで。

B 海外だと陰湿ないじめは日本より少ないのですか?

A 日本だと周囲と異なるものが排除されてしまったりすることがあると思います。

C 「海外は自分を表にだす!」という感じじゃないですか? 私も周りにインターナショナルスクールの子がいて。

B なんか日本は個性を特に嫌う風潮があるなと思いますね……。

A すごく賛成です。

B 皆が同じなんてあり得ませんけどね……。

A 日本にいたときはいじめられる側だったので、海外に行って「自己主張は間違っていない」ということを実感しました。でも日本でいじめが起きる理由がいまだにわからないです……。

D 高校生になってから、女子校っていうのもあると思うんですけど、みんながそれぞれの性格を認めるようになった気がします。付き合いが長くなってくると変わるものもあるのでしょうか。

A あると思います。単にその時期を超えたっていうのもありそうですが。

B 高校生にもなるとどこも皆、少し大人になりますよね。いじめってめちゃくちゃささいなことからおきますよね……。皆が「自分よりあいつの方が劣っている」と思いたいんでしょうね。

D そうですね。「優位に立ちたい」という気持ちがあるのだと思います。大人になって冷静に考えられるようになれば、少しは変わると思うのですが。

C 嫉妬など、人と異なる人がいじめのターゲットになることが多い気がします。

B だから、「優秀な人ほどつぶされる」とかってききますね。

(続きます)