マナさん(仮名、大学1年)は、総合型選抜で成城大学に合格した。アルバイト、演劇部、日本語支援ボランティア、そして団体立ち上げ……。多彩な経験を積んだ高校生活に「大満足」だという。模索と挑戦の3年間を振り返ってもらった。(写真・本人提供)
【部活】舞台に立つのが「楽しいかも」演劇部で県大会へ
私は好奇心旺盛なので、高校では部活やバイトなど、いろいろ挑戦したいと考えていました。行事が盛んで楽しそうな雰囲気があり、バイトが禁止されていないところにひかれて、高校を選びました。

部活は演劇部に入部。人前に出るのが苦手だったので、最初は照明を担当。1年生の秋には県大会に出場しました。
裏方でも演技指導のワークショップに参加する決まりがありました。講師をしていた俳優さんから「声が通るね」と褒められて、すごくうれしかったんです。「自分も舞台に立ってみたいな」と思い、1年生の3月に、初めて役者として出演。2年生の秋にも役者として舞台に立ち、再び県大会に出場できました!
【アルバイト】居酒屋、ピザ屋…働く大変さを実感
1年生の6月からはバイトも始めました。居酒屋をメインに単発で宅配便の荷物整理をしたり、年末年始の短期だけピザ屋で働いたりと、いろいろなバイトを経験しました。
居酒屋ではもつ鍋を出していて、お客さんの前で作る必要がありました。15分くらい席についていなければならなかったので、会話が必要になり話す力が鍛えられました。
宅配便の荷物整理では、ちょっとトイレに行っただけで「サボるな」と怒られたことも……。働く大変さを、身をもってて感じました。
バイト週3、部活週3、塾は週1〜2のペースだったので、忙しい毎日でした。
【ボランティア】日本語を在日外国人に教えた
2年生になり、在日外国人の親子に日本語を教えるボランティアに参加しました。
インスタグラムで夜間中学のボランティアに関する投稿を発見。将来教師になりたかったので、「教える系のボランティアって面白そうだな」と興味がわいたんです。
最初は子どもたちが全然心を開いてくれませんでしたが、だんだん打ち解けて、「先生の絵を描いたよ」などと話しかけてくれるようになりました。
【団体立ち上げ】インスタでボランティア情報を発信
ボランティア活動を探していたとき、「高校生でもできるボランティア」が見つけづらいと感じていました。募集ページに「高校生歓迎」と書いていない団体には問い合わせる勇気が出ず、断られるとモチベーションも下がりました。
「だったら、自分で高校生向けのボランティア情報を発信すればいいんじゃないか」と思って、演劇部の友達を誘って団体を立ち上げました。

ボランティア団体は人手が足りないところも多いです。一方で高校生は、「推薦入試」のアピール材料を作りたいと考える人も多いと思います。うまくマッチングさせたいと考えました。
掲載したいと言ってくれたボランティア団体を取材して、活動内容をインスタグラムで発信し、ボランティア団体と参加希望者をつないでいます。
【大学選び】「私の活動が評価されそう」総合型選抜へ
数々の課外活動をする一方で「大学に落ちたらどうしよう」「勉強もボランティアも、どっちも中途半端になるかも」と、大学受験に対する不安もありました。
一般受験をする予定でしたが、成城大学の総合型選抜の募集要項に「社会福祉活動で成果を上げた者」と書いてあるのを発見。「ここなら、ボランティア団体の支援活動が評価されるかもしれない」と思って受験を決意しました。
【受験対策】クラファンで実績を作り、自信に
3年生になり、「9月の出願までに実績を残そう」と意識して行動。団体の取材活動のための交通費を集めるために、目標額を10万円に設定してクラウドファンディングに挑戦しました。
リターンを広告枠にして販売するなど工夫して、なんとか10万円を達成。数字で示せる実績ができたのは大きな自信になり、総合型選抜の志望理由書も説得力のある内容にできました。面接では、やってきたことを自分の言葉でよどみなく話せ、合格できました。
高校生活に大満足「挑戦って大事」
自分でも「よくこんなにうまくいったな」と思うほど、高校生活に本当に満足しています! 私は最初から「これをやろう」と思っていたわけではないんです。でも、少しでも気になることには思い切って挑戦してみたら、どんどん世界が広がりました。