さまざまな事情で飼い主がいない、劣悪な環境にいたなどして、保護されている犬・猫たちが多くいます。7月18日、東京都内で保護犬や保護猫の譲渡会が行われました。動物の保護活動をテーマにした映画「犬部!」とのコラボ企画として実施されたもの。譲渡会に参加した支援団体「はーとinはーとZR」と「ネコリパブリック」の担当者に保護犬や保護猫の現状を聞きました。(渡辺あみ)
高齢者が飼えなくなるケースが増加
―環境省のデータによると、2019年4月~20年3月の一年間で、全国の犬・猫の殺処分数が約3万2000になるそうです。どのような犬・猫が殺処分されてしまうのでしょうか。
殺処分の対象になる犬や猫で多いのは、外で暮らしている避妊去勢手術をしていない野良犬や野良猫が出産して生まれた命です。
そのため、避妊去勢手術が推奨されています。望まない妊娠や殺処分されてしまう犬や猫を減らすことにもつながっているのです。
―どうして捨てられてしまう犬や猫がいるのでしょうか?
さまざまな理由がありますが、最近多くなっているのは、高齢者の方がペットを育てられなくなることです。
飼い主が亡くなってしまう場合や介護施設などに入る場合に、家に取り残されてしまう犬や猫がたくさんいるのが現状です。
生む道具にされている犬・猫がいる
―保護犬、保護猫を飼うことは、ペットショップで購入して飼うこととどのような違いがありますか?
私は「命=お金」ではないと考えています。ペットショップで売られている子犬や子猫たちはかわいいですが、その裏には「子犬や子猫を産むためだけの道具」として使われている親犬、親猫がいます。
ペットショップにたどり着けない、裏に隠れた命があるということを多くの人に知っていただきたいです。
―なぜこの活動を始めたのでしょうか?
ペットショップで出会った犬を飼っていたときに、保健所で殺処分されてしまう犬がいるという記事を読んだことがきっかけでした。
すごく衝撃を受け、何かできることはないかとシェルターを訪れました。そしてその後、このような預かりや保護の活動をするようになりました。
高校生でも活動できることもありますので、救いたいという気持ちがあれば、まず行動してみてほしいと思っています。
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映画「犬部!」
獣医学部の大学生・花井颯太(林遣都)は子どもの頃から大の犬好き。目の前の命を救いたいという一途な想いで保護活動を続けていた。ある日颯太は動物保護活動をサークルにすることを思いつき、「犬部」を設立。同級生・柴崎涼介(中川大志)らが仲間となった。卒業後、颯太は動物病院へ、柴崎は動物愛護センターへ……。獣医師となった後も保護活動を続けていた颯太が逮捕されたという報道をうけ、犬部メンバーたちが再集結するが、そこに柴崎だけがいなかった……。全国公開中、配給:KADOKAWA © 2021 『犬部!』製作委員会