これが、ナニワのスティックさばきや! 

大阪の高校でアイスホッケー部があるのは関大一ただ一つ。「氷上の格闘技」の奥深さをナニワで探求し、満喫している。 (文・写真 宇佐見英治)

福田凌平副主将(3年)=大阪・関大一中出身=は「中学校では野球部でした」、中井直樹副主将(3年)=同中出身=は「中学は剣道部、初段です」というスポーツ歴。高校からアイスホッケーを始めたが、「氷の上はスピード感が違う。コンマ何秒の世界」(福田)、「リンクの中でプレーが止まることが少ない。展開が目まぐるしく、そしてゴールは入りにくい」(中井)と熱く語る。

アイスホッケーは激しい。アメリカンフットボールやラグビーなどと同様に、体のぶつかり合いがある。氷上のため、スピードは際立つ。スケートの滑り方、スティックの使い方も熟練が要求される。

笠間理生主将(3年)=新潟・瑞穂中出身=は「3歳でスケートを始めた」というアイスホッケー経験者。「インターハイに出場していた関大一高のことを知り、進学を決めました。関西大学でアイスホッケーを続けたいと希望しています」と、さらなるレベルアップを目指す。

数々のアイスホッケーチームを指導してきた関根誠コーチ(55)は「選手個々は、それぞれいいスキルを持っています。北海道などアイスホッケーが盛んな所との差はあります。しかし、目標に向かって頑張る、諦めない、そういう選手たちです」と話す。

3年生7人も、来年1月開催のインターハイまでは引退しない。インターハイで、まだ勝ち星がない。目標は勝つことだ。

選手たちは「場面判断をもっと速く」と関根コーチから要求されている。

難しいが楽しい。主将、副主将は「それがアイスホッケーの魅力です」と声をそろえた。

TEAM DATA

  現チームは3年生7人、2年生4人、1年生6人。山田茂先生(56)が32年間、アイスホッケー部顧問を務めている。氷上練習は通常、高槻市にある関西大学アイスアリーナで午後5時から1時間半(金曜日は午後7時すぎから)。そのほかに陸上トレーニングなど。

 関西にわずか2校

関西の大学アイスホッケー部は、関関同立などが学生リーグで熱戦を展開し、インカレでも8強入りするなどレベルアップしている。しかし、アイスホッケーを高校の部活動として行っているのは、関西で関大一と光泉(滋賀)の2校だけ。大阪にはかつて北陽(現関大北陽)、住吉にもあった。しかし、練習リンクの閉鎖など、環境が整わないため活動をストップした。高校での認知度は低い。