東海大学、近畿大学、帝京大学は4月16日、大学の枠を超えて教育、研究、経営などで協力する「私立総合3大学アライアンス」を締結した。学部学生数が合計約8万4千人に達し、医学部を擁する日本有数の規模の私立大が協力することで、「コロナ後」を見すえた、教育・研究・医療・経営の高度化を図る狙いだ。
「コロナ後」を見すえて教育・研究などを高度化
16日に記者会見した3大学の理事長、学長によると、コロナ禍によって授業のオンライン化などこれまでになかった課題に直面し、大学のあり方の急速な変化が予想されることを受け、「コロナ後」も見すえ、教育・研究の成果をより高めて社会に還元することを目指して提携することにしたという。
NHKの番組を教育で活用できるように
まず今年度からは、NHKの番組111本を教材として活用する数億円規模とみられる契約を3大学が資金を分担して実現。「NHKスペシャル」や「プロジェクトX」など教育効果が高い番組を授業の副教材にしたり、学生が自由に視聴したりできるようになる。
今後の取り組みの案としては、教職員の研修の共同実施や、大学のシステム基盤やセキュリティ対策の共有、付属病院の医薬品の共同購入、医療の共同研究、国際的な広報の共同実施などが挙がっているという。
「『3本の矢』強固な活動を可能に」
提携を呼び掛けた東海大学の山田清志学長は「1本の矢でもそれぞれ強い私立大学が『3本の矢』になることで、より強固な活動ができる。(他大学でも実施する)単位互換などにとどまらず、アフターコロナを見すえたアライアンスにしたい」と意気込みを語る。
近畿大学の世耕弘成理事長も「新型コロナによって大学は授業方法やイベントが見直されており、その対応も重要だ。3大学が連携によって大学界のフロントランナーになり、単独ではできない新たなチャレンジをしたい」と話した。
帝京大学の冲永佳史理事長・学長は「3大学は、学部構成は似ているが建学の精神や特徴は違う。だからこそアライアンスを組むことで意味がある。切磋琢磨して成長し、シナジーを生みたい」と意義を説明した。
3大学の学部数と学部学生数(2020年5月時点)は、東海大学が19学部・約2万9千人。近畿大学が14学部・約3万3千人、帝京大学が10学部・約2万2千人。