学校の人間関係の中でも、学年やクラスなのに上下関係・序列が生まれてしまう「スクールカースト」はやっかいです。なかなか話しづらいこの問題について、スクールカーストの経験がある高校生記者と大学生で語り合いました。今回はスクールカーストがある学校のクラス行事運営の実態を中心に語り合いました。

座談会に参加してくれた高校生記者・大学生

Aさん(高校1年)

中学校まではクラスにカーストがあったが、高校に入ってからはなくなった。中学までのカーストでは下位にいた。

Bさん(高校2年)

中学・高校ともにカーストあり。カーストの上位でも下位でもない位置にいる。

Cさん(高校3年)

中学・高校ともにカーストがあるが、高校はカーストに対するこだわりが薄い雰囲気。1~1.5軍に属していて、クラスを仕切る人の補助的な立ち位置。

Dさん(大学1年)

高校時代にスクールカーストを経験した。

1軍じゃないと行事を仕切れない?

―みなさんのお話を聞くと、クラスの雰囲気を作る目立つ、積極的な生徒……いわゆる「陽キャ」のような目立つ子が「分けへだてなく接するタイプ」だと、カーストが生まれない。逆に陰キャ、陽キャ…と「線引きをするタイプ」だと序列が生じてカーストができる…という印象ですね。学校行事のクラス運営とスクールカーストはどう関係していますか?

B 1軍は、行事は仕切るけど、それ以外のクラスの決めごとは話を聞かないで話したり、スマホをいじったりしていました。

C わかります。重要ではないことは話を聞かないで全てスルーしていました。大きな行事などは仕切っていました。

B 例えば体育祭で出場する競技を決める話し合いでは、司会は1軍でない人がやり、1軍の人は自分の出たい種目を主張して押し通していました。

行事は仕切るけれど、それ以外はスルーしてスマホいじり

―学級委員の人が仕切らないんですか?

C  1軍の子やその友達でない学級委員は、話し合いを全く仕切れていなかったです。

A 言い方が良くないかもしれませんが、私の学校では1軍じゃない学級委員でも、その人が賢ければ1軍も言うことを聞いていました。

B わかります。賢い学級委員は裏ボスのような感じでした。

C そうですよね。表立って批判はしないけれど、裏で「1軍がでしゃばっている」と悪口のようなものは言っている気がします。

B 裏ボスな学級委員は、1軍ではないけれど、いざという時にはズバッという、というような感じでした。

1軍・2軍だけじゃない、その中間もいる

―みなさんはどうふるまってるんですか?

A 中学時代、私はずっとカーストの底辺だったので……(笑)。高校生になった今でこそカーストがなくなりましたが、中学時代は周りを気にして学校生活を楽しめませんでした。いわゆる陽キャ=1軍の人たちはどんな生活をしていたのかなと思いました。

B  私は1軍とその他の両者の間に位置しています。学級委員や生徒会をやっていて、人前で話すことが多く、1軍の人と話すことも多くあります。

A 間に立っているんですか……?

B はい! 1軍の人と常に一緒にいるのではなく、自分と席の近い1軍以外の人と話すようにして、クラス全員と話すというのを心がけています。

A そうなのですね。私の学校にはそのような立ち位置の人は少なかったので新鮮に感じました。

―単純に上位・下位で分けられているわけではないんですね。

B 私は自分の立ち位置をカースト制度に縛られたくないので、いろんな人と話すことでカーストのどこにも属さないようにしています。

C それは良い考えだと思います!

B ですが、正直八方美人と思われていないかが心配です……。

A  そんなことないと思います! 底辺の人にとってはそのような人がいるとうれしいです!

B 良かったです。安心しました。カーストが怖くて入学すぐは周りの意見に合わせていたんですが、そんな自分が嫌になって。この位置を心がけるようにしました。

C 私は陽キャでも陰キャでもないですが、陽キャ(=1軍)の仲間、というような感じです。仕切る子の補助というか。双方の意見を聞くので板挟みになることもあって。Bさんは1軍とそれ以外の間、私は陽キャの仲間…スクールカーストのなかにもいろんな立ち位置があるんですね。

A こう話してみると、新しい発見があって楽しい。

C 学校生活を見直すきっかけにもなってよかったです。 

明るい性格だから上位…という単純な序列ではない