サッカー激戦区の一つである埼玉県で今年度、強さを発揮しているのが西武台だ。新チームになって以降、県内では無敗を誇り、県総体でも決勝で圧巻の試合運びを見せて優勝を果たした。勝ちきる強さを身につけたチームのキーワードは「200%」だ。 (文・写真 茂野聡士)
■県内では無敗
6月21日にあった県総体決勝の西武文理戦。キックオフの笛が鳴るやいなや、選手たちがゴールを狙って前線へと飛び出す。ボールを奪い取られても、すぐに奪い返そうとする。準決勝の翌日に決勝が行われる過密日程だったが、西武台イレブンの足が止まることはなかった。
積極的な動きで西武文理を圧倒し、前半終了間際に立て続けに2得点を奪う。後半に入るとその勢いはさらに増し、佐藤健太(3年)の鮮やかなミドルシュートなどで加点し4-0で快勝。現チームになってから継続している県内大会での無敗記録をさらに伸ばした。
「試合前、気合を入れていこうと全員で声を掛け合いました。その結果、前線からプレスにいけましたし、中盤での逆サイドへの展開などでも工夫できました」と、決定的な3点目を奪った佐藤は胸を張った。
■「試合が楽に思える」
試合終了まで途切れない集中力の高さも光った。西武台の選手、そして守屋保監督の口から共通して出たのが、「練習から200%の力を出す」という言葉だ。キャプテンを務める小川匠(3年)は、現チームの強みをこう語る。「この結果につながったのは、練習の時から常に全力を出す意識を高めてきたから」
例えば、1対1の練習。どの学校も取り入れるシンプルなメニューだが、「攻撃ならマーカーを絶対に抜ききる、守備ならボールを持っている相手をつぶすことを徹底してやっています」(佐藤)。普段の練習から厳しい環境に追い込むことで、本番のプレーに余裕が生まれる。小川は「試合中に『練習より楽だな』と思えるんです」と、手応えを得ている。
チームには、昨年のインターハイ3回戦でPK戦の末に敗退した苦い記憶がある。それをぬぐい去るための「200%」。貫いた先に、最大の目標に掲げる「全国制覇」が待っている。
(チームデータ)
1981 年創部、部員数183 人(3年生51 人、2 年生70 人、1 年生62 人)。全国高校選手権に3 回出場し、10 年度はベスト8。J リーガーを多く輩出し、現役選手は片岡洋介、清水慎太郎(ともに大宮アルディージャ)、前田直輝(松本山雅FC)ら。