高校生記者の石橋美羽さん(3年)は、核兵器廃絶を目指し活動する「高校生平和大使」を務めました。どんな活動をしてきたのか教えてもらいました。

核兵器廃絶を願う署名を国連へ、ローマ法王へも謁見

今回は、核兵器廃絶を願い、全国各地で活動している高校生平和大使について紹介したいと思います。

1998年、インドとパキスタンの相次ぐ核実験に危機感を受け、長崎の被爆者が募金をして高校生を派遣したのが始まりです。今年で23代目となり、全国からたくさんの高校生が参加しています。日本政府より「日本ユース非核特使」に任命されており、一昨年度よりノーベル平和賞にノミネートされるなど、長年の活動の積み重ねにより、少しずつ活動が認められてきているように感じます。

第22代高校生平和大使結団式の様子

主な活動は、全国各地で集めた核兵器廃絶を願う署名をスイスにある国連欧州本部に届けることです。また、この他にも各都道府県によってさまざまな活動を行っています。署名活動はもちろんの事、ローマ法王謁見(えっけん)や、平和式典への参加、修学旅行生との交流、講演会、小学校での模擬授業、県知事表敬など多岐にわたります。被爆者の方から直接お話を聞かせていただいたことをはじめ、たくさんの貴重な体験をさせていただくことができました。

スイスの国連欧州本部にて軍縮会議を聞く前
国連欧州本部の前にて集合写真

小学生に平和の大切さを伝える模擬授業を実施

私が活動した中で一番印象に残っていることは、小学校で行った模擬授業です。パワーポイントを使い、小学生にも理解しやすい内容になるように意識しました。日本に原子爆弾が落とされたことはもちろんのこと、落とされた後の人々の暮らしなど少しでも身近に感じ興味を持ってもらえるようなきっかけとなればいいな……と思いながら授業をしました。

小学生からは「もっと戦争や核兵器について調べてみようと思う」「高校生平和大使について興味を持った」などの感想をいただきました。一人でも多くの小学生に平和について考えるきっかけを与えられていたらいいなと思っています。

広島県原爆ドーム

言葉が通じなくても質問する姿に刺激を受けた

私は、広島、長崎からは遠いところに住んでいます。そのため、直接被爆者の方からお話を聞くことはおろか、ほとんど知識もないまま、この活動を始めました。活動をする一番のきっかけとなったのは、第21代高校生平和大使の活動が新聞に載っているのを見たことです。「高校生でもこのような活動ができるんだ!」と興味を持ち、応募をしました。

活動を始めてからは、他の高校生平和大使から影響を受けるようになりました。スイスに行き、言葉が通じなくても意見を聞こうと必死に質問する姿や、記者の方々の質問に熱心に答える姿を目の当たりにしたんです。そんな姿勢に私は刺激をもらい、ただ学ぶだけでなく、「伝えていくことの重要さ」に気がつきました。同じ思いを抱いている仲間に出会えたことが一生の宝物になりました。

長崎県の爆心地公園にて若者早朝集会を行っている様子

高校生の力は微力だけど無力じゃない

今年の高校生平和大使の募集は終了していますが、高校生一万人署名活動のメンバーは常時募集しています。これは全国各地で高校生が、核兵器廃絶を願う街頭署名を行っているものです。昨年の署名数は21万5547筆、累計署名数は200万1235筆と200万人を超えました。私たちと一緒に、「核兵器廃絶を訴え平和な世界にしたい!」という想いがある高校生や、「なにか新しいことに挑戦したい!」という高校生を待っています。

核兵器廃絶はそう遠くない未来に実現することが可能だと私は考えています。ですがそれを実現するには、私たち市民の声、私たち若者の声を世界へ届けることが必要だと考えます。そのためにも高校生一万人署名活動の大切さを感じているんです。市民からの声を、国連に私たち高校生が直接届けていることが少しでも響いていると思っています。高校生でも「微力だけど無力じゃない」と信じ、活動し続けていきたいです。

全国の一万人署名メンバー

すてきな青空をずっと守り続けるために、私たちと一緒に活動しませんか?(高校生記者・石橋美羽=3年)