オススメの小説を高校生記者のチュッパチャプスさんに紹介してもらいました。
少年犯罪から考える「正義ってなに?」
『さまよう刃』東野圭吾著(角川文庫、760円=価格は税抜)
この作品は、少年犯罪を題材とした小説です。
娘を蹂躙され、遺体を遺棄された父親が、ある密告者からの情報提供のもと、少年である加害者への復讐に乗り出し罪を犯してしまいます。少年法は存在すべきなのか、未成年の罪を軽くするのは妥当なのか。被害者の父、加害者……それぞれの立場の人々が、何を考え、何を思い、何をしようとするのかがつづられます。とても考えさせられる内容です。
どこまでプライバシーは守られるべきなのか、なぜ国の定める「正義」を守る必要があるのか、私たちの思いはどこまで受け入れられるのか…多くのことを私自身も考えさせられました。
少年犯罪は刑が軽いことを知って、犯罪に手を染めてしまう人がいるのは事実だと思います。しかし、少年のプライバシーはある程度守られるべきであると思います。これは一般の犯罪でも同じだと考えます。
意見が対立した時に「否定しない大事さ」を思い出す
今の日本では、マスメディアが主な情報源であることは事実です。最近では、行き過ぎた取材や、ネットでの誹謗中傷などが問題となっています。そうした中、さまざまな意見をさまざまな立場の人が、ワイドショーなどで発言しています。番組が何を伝えたいかによって、意見の偏りが生まれてくると思います。そういうときは、どんな立場の人の意見なのかを考えながら見ることが大切だと感じます。
世の中には多種多様な人がいます。それぞれ異なるバックグラウンドを持ち、誰もがその人なりの意見を持っています。世の中で「悪い」とみなされていることでも、その人にとっては絶対にしなければならないということもあり得ます。
確かに「犯罪」は犯すべきではありません。しかし、なぜ罪を犯したのか、どんな理由があったのかなどを調べ、その人の思いなどを考慮することも大切なのではないかと考えます。
学校でも、話し合いの場で意見が対立することがありますが、そんなときはいつもこの小説を思い出して、自分と異なる意見を否定しないようにしたいと思います。(高校生記者・チュッパチャプス=2年)